シナリヲ概要

時は寛弘四年、春の平安京のことなり。
光を失ふる光源氏、都に漂ふる妬みと怨念、忍び寄る邪悪な闇──。
探索者は平安京に光を還し得んや!?

推奨すべき人数:三至四人なり。
想定される遊戯時間:およそ三時間(オンラインのテキストセッションの場合は九時間)に及びけり。

現代語バージョンはこちら。




本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


※注意:以下にはシナリオのネタバレが含まれます。























司る者に対する情報

光を憎むるなひやるらとほてぷ、光り輝く美貌の持ち主なる光源氏を消し去るを企む。是は実の光源氏を史の闇に葬り去りて、己が新たなる光源氏となり、紫式部に競争心を抱く清少納言に其の物語を書かしめんとする計画なり。是によりて、なひやるらとほてぷの闇の光源氏として平安京に降り立ち、光源氏を拐るなり。光源氏の良き理解者なる頭中将、源氏の不在に不吉なる予感を感じ、探索する者に其の捜索を依頼す。然れども・・・。
是れのシナリヲ、クトゥルフ神話TRPGと「平安京怪異譚」に即すなり。『平安京怪異譚』は即ち「クトゥルフ・コデックス」に載せらるる平安京を主題とする職や技、時代の背景などの追加法度なり。是れのシナリヲにおいては、「光源氏」あるいは「光」を主題とする和歌を詠むみぎりの現わるる。臨時に歌を思いつくは困難なり。是によりて、司る者は予めプレイヤーに、和歌を詠む可能性ありと告げ、事前に考へ来るよう勧むべし。新たに探索する者成さらば、交渉や人縁に関する技の他に、〈芸術:和歌〉等を推奨すべし。


和歌

シナリヲの中に於いて、交渉や情報収集などのために運命を定める必要が生じた場合、〈説得〉や〈言いくるめ〉などの運命を定めるに代り、〈芸術:和歌〉に成功することは、雅なる歌にて相手を感動せしめ、情報を探り出したり協力を得たことと見做すてもよし。プレイヤーが実際に和歌を詠んだ場合、司る者は己の裁量によりて、判定に賞賛を加えてもよし。


異国の語を禁ず

是のシナリヲ、平安の時代を舞台とす。然るに、プレイヤーが異国の語を用いてしまうこと、探索する者は己の口より未知の言語を発せしことにより、宇宙の恐怖を感じ、1/1D6の精神の均衡を失ふ。是における異国の語とは、主として片仮名により表記せし、欧米より伝わるる語を指すものなり。細かな定義設けず、現場に在る司る者および探索する者の裁量に委ね、其の場の雰囲気に依りて定める方が、セッションの盛り上がりを増することよろし。又、公平を期するため、司る者が異国の語を用いてしまったついでには、探索する者の精神の均衡を1回復せん。尚、文章の読解を容易にするため、シナリヲ中には従来通り異国の語を使用する。司る者は、セッション中にシナリヲの文章を読み上げる際にも、異国の語に留意すべし。


主なるNPC

◆光源氏(ひかるげんじ)
知らぬ者なき源氏物語の主人公なりて、帝と桐壺の更衣との間に生まれし皇子なり。更衣の身分の高くなき生まれなる故に、身分の争いに巻き込まるを憂いたる帝の意により、源姓を与えられ臣籍に降ろされたり。光り輝く如き美しい容姿より、光源氏と称せられし者なり。

光源氏、光を放つる源氏の君なり
STR 9 CON 13 SIZ 13 INT 15 POW 18 DEX 14 APP 100 EDU 15
正気度 90 耐久力 13
ダメージボーナス:0
技能:和歌 90%、舞 90%、忍び歩き 80%、地位 70%、乗馬 70%


◆頭中将(とふのちゆふじよう)
光源氏の妻なる葵の上の兄にして、左大臣の令息なり。光源氏の良き理解者なり。源氏と葵の上の仲は賞賛すべからざるものにして、二人の関係を懸念する。性格は和やかなる兄貴なり。

頭中将、光源氏の妻なる葵の上の兄
STR 12 CON 11 SIZ 13 INT 16 POW 9 DEX 11 APP 13 EDU 17
正気度 45 耐久力 12
ダメージボーナス:+1D4
技能:説得 70%、地位 60%、和歌 60%、土地勘 70%、法律 70%


◆紫式部(むらさきしきぶ)
平安の都にて優れたる作家・歌人なり。源氏物語の作者として知られたるはその正体、遥かなる過去、神話の時代より精神を換ふることにより時を超え平安京に来たるるヰスの大なる種族の一なりけり。彼女の志は日本の諸時代の情報を収集せしむることにあり、これまで幾度となく時を訪れ、多様な文化や知識に触れてきたれり。性質は内向きにして貴腐たる気質あり。光源氏にその心奪われ、源氏物語を書きしめん。

紫式部、過去より来たるる天才の文士なり
STR 8 CON 9 SIZ 9 INT 24 POW 13 DEX 10 APP 9 EDU 28
正気度 該当せず 耐久力 9
ダメージボーナス:0
武器:電撃銃 80%、ダメージ 1D10
技能:博物学 95%、芸術(文学) 98%、和歌 98%、図書館 95%、漢文 90%、物理学 95%、電子工学 95%、歴史 95%


◆清少納言(せひしょふなごん)
平安の中の世にて文士・歌人なり。後の世にて枕草子の筆者として称せらるる。名高き歌人なりし藤原元輔の娘にして、自らも極めて才気に富む。その博学や物事に関する深き洞察、中宮定子にも喜ばれ、宮中においても人心を得る。自尊心と承認を求むる欲は旺盛にあり、紫式部の才を目前にし、焦りを感じていたことを、なひやるらとほてぷに利用されることとなるべし。

彼女の才能を求むるならば、「クトゥルフ・コデックス」なる書物の第四十八頁に書き載せられし。


◆闇光源氏(やみひかるげんじ)
光を帯びず、かえって闇をまとふその姿から、闇光源氏と呼ばれる此の者は、光源氏にもまさる美貌を有してはをりけれども、其の正体は、這ひ寄る混沌、なひやるらとほてぷの化身のひとつなりける。光を忌むる彼の、輝く源氏は天敵なれば、清少納言を手にかけ、光源氏を葬り去るを謀る。

闇光源氏、なひやるらとほてぷの化身なり
STR 9 CON 13 SIZ 13 INT 15 POW 18 DEX 17 APP 100 EDU 15
正気度 該当せず 耐久力 13
ダメージボーナス:0
技能:和歌 90%、舞 90%、忍び歩き 80%、地位 70%、乗馬 70%


NPCの立ちたる絵の画像について

NPCの立ちたる絵の画像を用ゐる折には、次のことにご留意くださいますよう、お願ひ申しあげるべし。

・当シナリヲの頁に掲載せしNPCの立ちたる絵の画像の著作権は、おまつりミート@NIPque様に帰属すべし。
・改変、二次配布、他のシナリヲにおける使用を差し控えてくだされば幸ひ。
・リプレイ動画やネット配信などに使用の場合は、著作権者を明記くだされば幸ひ。
・営利目的の使用は差し控へくだされば幸ひ。

NPCの立ちたる絵をダウンロードし給へ


導入の章

是寛弘四年の春、平安の京にて。探索する者、葵の上の兄にてある頭中将より、三日前より消息を絶たれたる光源氏を尋ねんことを求むられたり。是の依頼は、探索する者の一人、友人やるか、上司にてある頭中将より依頼を受け、その後、他の探索する者にも協力を仰ぐといふ形にて始むることを望む。依頼に応ずる者には、一人あたり最大五百文までの報酬を約しめり。又、必要な経費はすべて頭中将が負ふとなむといふ。
頭中将、光源氏の行方につきて何もかもを知らず。光源氏、浮気の性を有し、彼が新たなる女性のもとに移ることもありと思ふ。しかれども、彼、姿を消するは約一月の前、頭中将にて「何者かの視線を感じたり」と相談あり。それが気がかりなり。頭中将、その者が光源氏を拐げんかもしれずと考え、犯人を見つけ、光源氏を救ふべしと探索する者に依頼せしむ。
探索する者、頭中将の語りを聞き、光源氏を尾行せしめたる紫式部につきての調査を行ふべしとなりたまふ。これには家人や都の人々よりの目撃情報の収集、宜しとせり。此のついで、探索する者、対人関係に関する技や才の値にて判定を行ひ、成功せしめれば、此れ即ち次の如くの情報を得るべし。又、交渉系の技能以外の提案ある時は、司る者の裁量により代替せしむることも可し。

■ 中宮・藤原彰子に仕えし女房、紫式部、光源氏を尾行せしむるあり。

■ 紫式部、物陰より光源氏を監視せり。何かを書きとめしむるかの如くなりたまふ。日頃は屋敷に籠もりてばかりなる彼女の、都を歩き回りし事、不思議なると人々思ふ。

■ 又、紫式部、近頃、夜になりては自室に閉じ籠り、明かりをつけたまま何かをなすといふ。

さらに、

■ 都に近頃、漆黒の衣に身を包みし、色黒の美青年あり。此の者、光源氏に劣らぬる美貌を有し、かの如き者、「闇光源氏」と呼ばるるとの噂あり。


紫式部

紫式部の情報を得たる探索する者、彼女について探るべし。紫式部は都の東、中河の地に住まふ。使用人に事情を告げて面会を求むるに、使用人「丁度、紫式部、とある事情で大変困りにけり、相談に乗ってくれるといふならば、紫式部に会わせることができる」などと曰く。使用人に案内せらるるが、書斎のふすま開けば、文机に向かふ紫式部、叫び声をあげ、いと慌てた様子にて、机の上に広げておりし何かを隠さんとす。〈目星〉のロールに成功せし者は、彼女が隠したるもの、手書きの薄き書物なりと気づくことあり。
問い詰めむ探索する者に、紫式部のはじめは「こ、これは違ふ也!」と必死に抵抗せんとするものの、探索する者の対人関係に関する技や才値の判定に成功せしめ、さらに深く問い詰めたりせしめば、やがて観念し、「光源氏の薄き本を書きし」と悔しき白状せし。尚、源氏物語は物理的には決して薄からず。ここにおいての薄きは、その者たちの生き様なりて、同人誌の様を指さんとす。
是の紫式部の正体は、平安京に住まふる人類を調査せしめるため、精神交換により、遥かな過去より参来せしヰスの人なり。ちなみに本来の紫式部の精神は、過去の世界においてヰスの人の肉体に宿り、膨大な書物を内包せし図書館にて、この時代の出来事などを記ししめる仕事に従事せしむべしと思ゆ。
是の時代に参来せし彼女、平安京に住まうる人類を調査せしむうち、光輝く源氏の君の存在を知り、彼の魅力に心酔せしむ。彼女の実は、これまで数多なる時代にタイムスリップせし経験あり、この時代よりおよそ1000年の後、2020年代の日本にて同人誌に触れし経験あり。彼女、その知識に基づき、推したる光源氏の行動をば同人誌風に記し、彼の行動を観察せり。
然れども、近頃にて、彼女の元に「源氏物語を書くのを止めるべし」と書かれたりし、差出人不明の脅迫文、日々何通も届き始めん。何にしても物語を成し遂げむと欲する彼女の、手紙を無視せしめりしにも関わらす、しばしの後にて、光源氏の行方分からずとなれば、物語の続きを書き得る者なくして、困り果てたり。
紫式部の犯人の目星を得ており。それは彼女の宿敵なりける清少納言にて。清少納言、己が知識や才能を自慢せしめて、周囲にてチヤホヤされむこと好む人物なり。


清少納言

清少納言、時の帝の皇后・中宮定子に仕えつつありけれども、今や都にて其の姿を見むこと能はず。探索する者の中には官位を有し、後宮に出入りする清少納言に親しい女房等より其の事を聞き得ん者あり。もし官位なき者なれば、対人関係の技能を以て成功すれば、人を経て清少納言の知り合いを紹介してもらうこと叶ふべし。加えて、芸術の技能である和歌の才を持ち、相手を感動させし者なれば、相手の協力を得る。

是によりて、清少納言のこと問へば、其の者、しばらくの間、屋敷に還らずとの情報を得り。其の主たる中宮定子も心配をしておりしといふ情報を得る。加えて、其の行く先についての手がかりなど尋ぬれば、其の机に残されしといふ手紙を見せてもらうことができる。司る者は次のプレイヤー資料を提示せり。

春はあけぼの。
やうやう白くなりゆく山ぎは、少しあかりて、
紫だちたる雲のほそくたなびきたる。
(清少納言「枕草子」より)

此れ然るに枕草子の一文なれど、清少納言の行く先を示す手がかりなり。探索する者、明け方に都より周囲の山際を望むれば、東の山の端に朝日とは別の微かな光を見む。さらに、其れより大量の黒紫の雲の如き煙が立ち昇りしを見る。やうやう其の煙は迅く都の上空へと広がり、日光を遮り、周囲を闇に閉じることになる。探索する者、何かの謎かと思いて、必死に其の文章の意を求むるかも知れず。若しくは、時が経ゆることを想わんが如し。時が経ゆるとともに、山を顧みたる時、山ぎわに異様なる事態に気づくこととすべし。尚、目星の成功すれば、煙立ち昇る山の端に洞窟の入口ありと気づくことができるべし。


山の洞窟

是の所在は都より歩みて半時ほどの地にあり。然れども、探索する者の少なくとも一人が〈土地勘〉あるひは〈ナビゲート〉の判定に成功せざる場合、途中にて迷いしにより、時間は倍とならん。洞窟に接近するに及び、周囲は漸くして紫かがやく奇しき霧に覆われん。その霧は日光を徐々に閉じ、昼にして暗き丑三つ時の如くに成る。是にて〈聞き耳〉の運命に成功せし探索する者は、暗闇の中より、鳥かコウモリの如きものが、大きな翼をはばたかせむ不気味な音を聞く。彼の音の正体は、探索する者の様子を探るる闇光源氏なり。怪物は洞窟に接近せし探索する者の動きを探るのみにて、襲いかかることなく。探索する者が其の存在を知れば、怪物は闇に消え去る。もし探索する者が明かりを用いんとすれば、奇異なる生物の姿を一瞬のみ視ることに成ろう。それは人とコウモリを合わせたる如き冒涜の姿なれば、頭に燃ゆる如き三つの目を燈し、大なる翼をはばたかせ、闇に消え去る。是に目撃せし探索する者は1/1D10の精神の均衡を失ふ。
探索する者の周囲を見渡せば、闇の奥に漏れるかすかなる光を発見することより可し。探索する者が都より見えたる光と比べんと欲すれば、都の光はもっと白くはっきりとし、別なる光なることに気づくことより可し。実はあの時に見えたるは光源氏の放つ光なりき。今に見えしは洞窟内に置かる松明なり。内部は岩に造られたる自然の洞窟にて、昼にしても暗く湿りひとし。通路には幾つかの松明が壁に固定せらるるものの、その光は極めて弱く、足元より僅か数丈の視界を確保せしめるのみ。探索する者が望むならば、その松明を取り外し持ち去ることも可能なり。
薄暗き洞窟を進むれば、やがて開けたる場に至る。其処は直径二十間ばかりの空間にて、奥には木製の格子にて区切られたり見ゆる牢かな。探索する者が近づけば、「其処に居るは誰ぞや。やつらの同人か?」との男の声聞こゆ。其の声は弱りきりつつも、聞く者をしてその整いたる美貌を思い浮べし声にてある。牢の中をよく見たり、明かりにて照らせば、奥にてうずくまるる光源氏の姿を見出さん。光源氏は噂に違わぬ美貌の持ち主なれば、女性の探索する者が其の姿を見たる時には、その極めて美しきにて0/1D6の精神の均衡を失ふほどにあらん。然れども久しく暗闇の中に幽閉せらるる影響にて輝きは薄れ、かなり弱りたるが、其の姿より伺うるに、之が囚わるる牢屋には扉あり、然れども丈夫なる錠前(海老錠と称す、奈良・平安の錠前)にて鍵かかる。開くには〈鍵開け〉の運命に成功するか、五点以上のダメージを与えて錠前や扉を破る必要あるべし。尚、是れらの行為を執行するには三ラウンド以上の時間を要することもあるべし。


闇光源氏計画

探索する者が光源氏を助けに来た旨を告げんとすれば、又は錠を開けんとすれば、「速やかに逃げるべし。彼らに気づかれんことあらざるよう」と声を荒げて言ふ。探索する者が彼を閉じ込めた犯人を問うんとすれば、「我が身に成り代わりし者にて、清少納言を操り、我を亡くさんと企てんとせしものなり」と答へん。
幾許かのやり取りを行へば、背後より「そこまでよ」といふ女の声聞こへん。振り向けば、洞窟の入り口を背にして立つ男女の姿あり。女は着物を羽織り、手には「枕草子」と書かれた書物を持つ。其の横に立つ男は黒衣を身に着け、色黒の美青年にて、邪悪な笑みを浮かべながら静かに様子を伺ふ。其の美貌は光源氏にも凌ぐほどにて、これまで都にて情報収集をしている探索する者なれば、女が清少納言、男が闇光源氏なることを知るべし。
探索する者が〈心理学〉や〈精神分析〉あるいは〈目星〉などのロールに成功すれば、清少納言が何処か虚ろなる表情にて焦点定まらずる目をしておることに気づくことあり。彼女は「やはり…紫式部の手下……あの女に源氏物語を書かしめんわけにはいかぬ。我が枕草子こそが最高なり……邪魔をせぬよう!」と、探索する者を狂気の視線で睨みつけるように言ふ。探索する者が清少納言に此の如きことを為す理由を問わんとすれば、やめるよふ説得しよふとすれば、彼女はうわ言をつぶやくごとく次のよふなことを説明し始めん。

■ この者(闇光源氏)は預言者なり。未来の世にて、紫式部の手による「源氏物語」を我が「枕草子」よりも高く評価せしめることを告げし。
■ 未来の人々、我らの真価を知らず。枕草子こそが至上の芸術なり!
■ 枕草子の優れたるを未来の人に理解せしむるには、源氏物語を消し去るのみならず。
■ 源氏物語の執筆を阻むべく、闇光源氏の手を借りて光源氏を捕らえたれど、妨げ勿れ。

探索する者が闇光源氏につき清少納言に問ふと、次の如くに答えり。

■ ある夜に、我が助けとなりんと訪れたりければ。
■ 彼、我が求めし事は何なりと教えてくれん。
■ その身の出で立ちより、必ずや極めて高貴なる方なり。

彼女の異様なる振る舞いに気づきし探索する者、闇光源氏を追及せんと欲することあらん。闇光源氏は涼しい顔をもって応じたり。

■ 彼女と我、利害一致せるゆえ、計画に同調せしめん。光源氏を滅するるための計、闇光源氏計画に。
■ 我、光を忌み嫌うがゆえ、彼の如き眩しき人間は邪魔なり。
■ 彼の力、我が手に奪いし。光源氏、もはや光らず。ただの源氏なり!
■ そして次は我が物語を清少納言に執筆せしめん。我こそ光源氏なり!!

物語の終わりに、闇光源氏、真の姿を顕す。全身より漆黒の闇が湧き出し、手足は異形に伸び、その先端には長き鉤爪、背には巨大なコウモリの翼が生じん。口は耳元まで裂け、鋭き牙が伸び、暗闇の中に燃える如き3つの目が不気味に輝く。変容した闇光源氏の姿を目撃せし者は1/1D10の精神の均衡を喪ふ。


闇光源氏(怪物の姿)
STR 28 CON 20 SIZ 24 INT 86 POW 100 DEX 19 APP 18
耐久力:44
DB:+2D6 MP:100 移動:8
攻撃の種類:鉤爪 90%、ダメージ 2D6
冒涜的な和歌 100%、ダメージ 和歌を聞くる者皆、受けるは1D6の傷に、また精神の均衡を0/1D3喪失す。気絶し、かくの如く耳聞かず者、詠みの害なくん。〈回避〉を果たする者、耳塞いで傷を免れん。
装甲:身には装甲なく、但し、物理の攻撃は及ばず。
その他の特徴:強き光に弱く、直射日光の輝き、毎ラウンド10D6の傷を受けん。ろうそくや松明の如く、弱き光、たとえば苦しきれど、それほどの傷なき。
正気度喪失:闇光源氏の化け物の姿を見て失ふ精神の均衡は1/1D10

◆冒涜的な和歌
闇光源氏の詠みし和歌、其の形式は五七五七七に準ずるものの、いかなる言葉とも似ず、奇怪な語句より構成せらる。是歌を聞く者、激し頭痛に悩み、肉体・精神を衰弱せしむる。

にゃるしゅたん
にゃるらとてっぷ
にゃるしゅたん
にゃるらとてっぷ
くとぅるふ・ふたぐん


結末

『闇にさまよふもの』となりし闇光源氏、探索する者に襲い掛かんとする折り、探索する者の後方より本物の光源氏かたりき、己が如何なる悪鬼をも退けらるかと告げき。然れども今やあの物の怪に力を奪わるて、己の本来の力を発揮すること能わず。然るにここに一策あり。それは趣ある雅なる和歌により、彼の精神力を回復することなり。
今之時の光源氏の魔法力は一ポイントにて、真の力を発揮せんと欲するには、"光源氏"あるいは"光"を主題とする和歌を詠むことにより、少なくとも彼の魔法力を十二ポイントまで回復すべし。 探索する者は一ラウンドに一度、和歌を詠むことができん。和歌を詠むには〈芸術:和歌〉あるいはAPの二倍の判定に成功すべし。是れの判定において通常に成功すれば、光源氏の魔法力は1D3ポイント回復す。もし是れの判定においてスペシャル以上の成就を得れば、光源氏の魔法力は二倍の2D3ポイント回復す。
是れにより、プレイヤーは実際に和歌を作り詠み、司る者が其の和歌に感動すれば、是れの判定に最大で+50%までの恩恵を与えん。さらに、是れの判定に成功すれば、光源氏の魔法力は2D3ポイント回復す。和歌を詠み慣れざる現世の人々にとり、即興に歌を作ることは容易ならず。是れを尊ぶべきなり。なお、魔法力を回復すべき際には、光源氏、探索する者が詠みし短歌を称賛し、褒めたたえること可なり。
爾が頑張り候へきと、輝きを放つ光源氏。やがて魔力のポイント十に達し、輝くるばかりの姿を示し「よろしき歌じ。見せ給へ。我が本当の力なり!」と申し給ひ、その輝きを受けし闇光源氏の体は炎に包まれゆく。闇光源氏は傲岸なりし笑みを浮べ「甚だ美しき歌じ。しかれども終わりに非ず。我は何度となく…」と申し給ひ、やがては完全に焼き尽くされて跡には僅かな灰のみが残りける。
闇光源氏を撃退せしむれば、清少納言は洗脳解け、正気を取り戻す。彼女は何ゆえか己が此の場にあるかも忘れざらん。光源氏は「貴殿の歌の功績にて、輝きを取り戻せり。感謝するぞ」と探索する者に礼を述べ給ふ。こうして探索する者の働きにより、闇光源氏は打ち倒され、京の都には平和と輝きが取り戻されたる。光源氏の救出に成功せし探索する者は1D10の正気度ポイントを獲得し給ふ。尚、シナリヲ中に良き和歌を詠みし探索する者は、ボーナスとして1D6ポイントの正気度ポイントを得給ふ。

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