「魔法少女」を名乗る〈愚者〉たちの殺し合い。
このデスゲームの裏には、彼女たちを操る〈禁書〉が存在するはずだ。
汝、異形なる魔法使いよ。
不条理な児戯が、大いなる災厄へと転ずる前に
元凶たる〈禁書〉を誘い出し
これを回収するのがお前の任務だ。
かの地へと向かい、新たな魔法少女と運命を結び
このゲームに参加するのだ。
魔導書大戦マギカロギア
『魔法少女の作り方』
──その円環は、歪なる偽りの奇跡。
このデスゲームの裏には、彼女たちを操る〈禁書〉が存在するはずだ。
汝、異形なる魔法使いよ。
不条理な児戯が、大いなる災厄へと転ずる前に
元凶たる〈禁書〉を誘い出し
これを回収するのがお前の任務だ。
かの地へと向かい、新たな魔法少女と運命を結び
このゲームに参加するのだ。
魔導書大戦マギカロギア
『魔法少女の作り方』
──その円環は、歪なる偽りの奇跡。
シナリオの概要
六分儀市で禁書〈【初心者でも簡単!】魔法少女の作り方〉による魔法厄災、「魔法少女」を名乗る〈愚者〉たちの殺し合いが始まった。姿を現さない〈禁書〉を誘い出すために、〈大法典〉は魔法少女のマスコットとして、魔法使いを派遣する。シナリオ作者:D猫
プレイ人数:1人
推奨キャラクター:第三階梯(継続可)・経歴は異端者あるいは外典を推奨・機関の推奨は特になし
使用ルールブック:『魔道書大戦RPG マギカロギア 基本ルールブック』(大判)
選択ルール:簡易装備のみ不採用
リミット:12サイクル
※PCは魔法少女のマスコットとして派遣されるため、謎の小動物や妖精のような外見でも雰囲気に合うでしょう。
※シーン表は通常の大判ルールブックのシーン表を使用します。
本シナリオは「株式会社新紀元社」が権利を有する『魔道書大戦RPG マギカロギア』の二次創作物です。
(C)河嶋陶一朗/冒険企画局/株式会社新紀元社
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↓↓↓以下、ネタバレ注意↓↓↓
背景
〈愚者〉の少女・咲邑あまねは「自分以外の全ての人が自分よりも不幸になりますように」という願いを拡大解釈されたことによって、過去から未来まで、可能性世界を含む全ての人々を偽りの因果律へと導く禁書〈歪なる偽りの円環〉に囚われ、書籍卿〈遍く世界の絶望〉となり、繰り返す円環の中で時間や場所を超越しあらゆる並行世界に渡り、全ての人々に絶望を振り撒く存在となります。数多の並行世界を渡りながらそれぞれの世界で彼女と〈禁書〉が起こす魔法厄災は、〈禁書〉により力を与えられた〈愚者〉、即ち「魔法少女」同士を殺し合わせて、最後に残った勝者の願いを叶えるというものです。
さらに〈大法典〉を欺くために、この魔法厄災は〈混血主義者〉に所属する〈書籍卿〉たちが〈書籍卿〉の初心者向けに生み出した禁書〈【初心者でも簡単!】魔法少女の作り方〉の仕業に偽装されています。
そしてどの世界でも、最後の1人に残るのは決まってその世界の「咲邑あまね」でした。彼女はどの並行世界でも不幸な運命を背負っており、勝者となった彼女は自身の願いによってその世界を絶望に陥れ、やがて次なる書籍卿〈遍く世界の絶望〉となって新たな並行世界に渡り、もはや何が始まりであったかも分からず永遠にこれを繰り返します。
導入フェイズ
大法典からの指令
PCはアレクサンドリア図書館に呼び出され、上位の魔法使いからの指令を言い渡されるシーンです。いわく、
六分儀市で「魔法少女」を名乗る〈愚者〉たちの殺し合いが行われている。
デスゲームの裏には、彼女たちを操る〈禁書〉が存在するはずだ。
この不条理な児戯が大いなる災厄へと転ずる前に、元凶たる〈禁書〉を誘い出し、
これを回収するのがお前の任務だ。
かの地へと向かい、新たな魔法少女と運命を結び、このゲームに参加するのだ。
デスゲームの裏には、彼女たちを操る〈禁書〉が存在するはずだ。
この不条理な児戯が大いなる災厄へと転ずる前に、元凶たる〈禁書〉を誘い出し、
これを回収するのがお前の任務だ。
かの地へと向かい、新たな魔法少女と運命を結び、このゲームに参加するのだ。
⚫︎事件の詳細
六分儀市で若い女性の不審死が相次いで起きている。〈大法典〉が調査を行った結果、発生している事象から〈混血主義者〉に所属する〈書籍卿〉たちが、〈書籍卿〉の初心者向けに生み出した禁書〈【初心者でも簡単!】魔法少女のつくり方〉による可能性が高いということだ。
六分儀市で若い女性の不審死が相次いで起きている。〈大法典〉が調査を行った結果、発生している事象から〈混血主義者〉に所属する〈書籍卿〉たちが、〈書籍卿〉の初心者向けに生み出した禁書〈【初心者でも簡単!】魔法少女のつくり方〉による可能性が高いということだ。
この情報を伝えると共に、「情報:禁書〈【初心者でも簡単!】魔法少女の作り方〉」を公開してください。
契約
六分儀市にやってきたPCが魔法少女と運命を結ぶシーンです。PCは魔力の反応を頼りに夕暮れの学校の教室へとやってきます。そこで教室に1人だけ残る少女を発見します。この少女、咲邑あまねは、1ヶ月前に父親が突然発狂して「無差別通り魔殺人事件」を起こし、家庭は崩壊して、近所の人や学校の同級生からひどいいじめを受けている状況にあります。
彼女は体中にすり傷や青あざがあり、制服も土や泥で汚れています。また彼女の机は「人殺し」「犯罪者」などの言葉を含む誹謗中傷だらけの落書きで覆われていて、周辺には無惨に切り刻まれた教科書やノートが散乱しています。それらに書かれた名前から、彼女が「咲邑あまね」という名であることがわかります。
彼女は度重なる不幸から心を閉ざしてしまっており、無表情にそれらを自分のカバンに詰め込むと教室を出ていこうとします。
ここで教室から出ていこうとした彼女と目があったPCは、彼女から強い魔法の素質を感じ取ります。また彼女の方もPCに気づき、その素質からPCが普通ではないことに直感的に気づきます。さらに実は別の並行世界の自分からかすかに引き継がれた記憶から既視感を覚えて小さく「あなたは確か、どこかで…」とつぶやきます。
その後、彼女は「そんなわけないか。というか、あなたは誰?こんなところで何してるの?」などとすぐに気持ちを切り替えて、訝しそうにしながらPCに質問します。ここでは彼女とPCの間でしばらくの間コミュニケーションを行っても構いません。しかしどのような話をしても彼女は深く興味を示そうとはせず、どうでもよさそうに適当な相槌を打つだけで、さらに自分のことについては他人には関係がないと言って話そうとしません。
PCはこのタイミングで彼女を魔法少女に誘うことができます。彼女は「いいよ、別に」などと、どうでも良さそうに淡々とした様子で了承します。ここでハンドアウト「咲邑あまね」と「魔法少女同士の殺し合い」を公開してください。PCは咲邑あまねをシナリオアンカーとして、彼女に対する【運命】を1点上昇することができます。【運命】の属性は「支配」を推奨します。
またそれと同時に「魔法少女〈咲邑あまね〉」のデータを公開します。以降のセッション中、PCは彼女を魔法戦の立会人に指定することができます。
最後にPCは1D6を降って、それに【根源力】を足します。その値が、セッションの初期の【魔力】となります。
ハンドアウト
情報:禁書〈【初心者でも簡単!】魔法少女の作り方〉 | |
---|---|
● 概要 4.0:★★★★☆ 666件の評価 〈混血主義者〉の〈書籍卿〉たちが、〈書籍卿〉になりたての初心者向けに生み出した入門書。 〈願い〉、〈奇跡〉、〈絶望〉の全3章から構成されており、魔法少女を作り出すための方法が初心者にもやさしく記載されている。 〈書籍卿〉御用達の通販サイト、〈嘆きの川〉で販売されていた。 この情報に秘密はない。 |
● 秘密 なし |
● ゾーキングで得られる情報 ・なし |
|
● アクション ・なし |
咲邑あまね(さきむら・あまね)/願い:自分以外の全ての人が自分よりも不幸になりますように | |
---|---|
● 概要 六分儀市の中学校に通う女子生徒。学校では酷いいじめに遭っている。 無口で内向的な性格で、自分の殻に閉じこもったまま感情を表に出そうとしない。 強力な魔法使いの素質を感じるが…。 |
● 秘密 3ヶ月前に彼女の父親が引き起こした「無差別通り魔殺人事件」により父親が逮捕、家庭は崩壊し、近所や学校でもいじめを受けるようになった。 この事件以降、仲の良い幼馴染「大曲のぞみ」を「不幸に巻き込んでしまう」と考えて現在は距離を置いているというが…。 プライズ「事件の記事」を持っている。 |
● ゾーキングで得られる情報 ・彼女は自分ばかりが不幸なのは不公平だと考えている。 ・彼女は自分が相対的に幸せになるために、他の全ての人が自分よりも不幸になることを願っている。 |
|
● アクション ・ハンドアウト「大曲のぞみ」を公開する。 ・プライズ「事件の記事」を公開する。 |
魔法少女同士の殺し合い | |
---|---|
● 概要 六分儀市で行われている魔法少女同士の殺し合い。すでに何名かの少女が犠牲になっているようだ。 3つにわかれた〈断章〉を揃えた者はどんな願いでも叶えることができると言われており、禁書〈【初心者にも簡単!】魔法少女の作り方〉の影響を受けたと思われる少女たちが魔法少女としてこれを奪い合っている。 |
● 秘密 PCはこの戦いに奇妙な既視感を感じる。以前にも似たようなことがあったような…。 PCは《追憶》で判定を行う。成功した場合、夢の魔素が1点発生する。 |
● ゾーキングで得られる情報 ・なし |
|
● アクション ・マスターシーン「夢」を挿入する。 |
NPCデータ
魔法少女〈咲邑あまね〉 ---- 禁書の影響を受け、魔法使いになりつつある。 |
攻:2 防:2 根源力:2 魔力:4 領域:力 特技:《希望》《円環》《不幸》 魂の特技:《世界》 真の姿:なし 魔法: 【回復】《円環》基本ルールブック P.109 【幸運】基本ルールブック P.121 ※セッション中、「魔法少女〈咲邑あまね〉」には「無限の魔素」のルールが適用される。ただし「魔法少女〈咲邑あまね〉」からPCへ魔素を渡すことはできない。 |
---|
メインフェイズ①
マスターシーン「追憶」
登場PC/全員発生タイミング/ハンドアウト「魔法少女同士の殺し合い」の秘密が明らかになった時
ハンドアウト「魔法少女同士の殺し合い」の秘密が明らかになった時に発生します。
PCの脳裏にあるはずのない記憶がフラッシュバックします。次のように演出してください。
あなたはビルの屋上のひび割れた冷たい床に倒れている。
魔力は尽きて、もはや指1本動かせない。
その視線の先では漆黒の闇が、街を、世界を、人々を、全てを覆い包んでいく。
誰かが、あなたに話しかけてくる。
???
「ごめんね、こんな結末で。
もう自分ですらもこの絶望を止められない。
全てはあの時の私の願いが招いたもの。
でももしも、もう一度──」
魔力は尽きて、もはや指1本動かせない。
その視線の先では漆黒の闇が、街を、世界を、人々を、全てを覆い包んでいく。
誰かが、あなたに話しかけてくる。
???
「ごめんね、こんな結末で。
もう自分ですらもこの絶望を止められない。
全てはあの時の私の願いが招いたもの。
でももしも、もう一度──」
ハンドアウト
プライズ「事件の記事」 | |
---|---|
● 概要 六分儀市で起きた事件記事の切り抜き。 「咲邑あまね」に対する【運命】が1点以上あれば、このプライズはPCに譲渡され、いつでも閲覧することができる。 |
● 秘密 3ヶ月前、六分儀市の繁華街で起きた事件。 加害者の咲邑淳一(45)が突如、刃物で通行人を無差別に襲い、多くの死傷者が出ている。警察の取り調べに対して咲邑淳一は「なぜこんなことをしたのか自分でもわからない。頭の中に誰かの声が聞こえてきて、気がついたら全てが終わっていた」と証言している。 |
● ゾーキングで得られる情報 ・なし |
|
● アクション ・なし |
大曲のぞみ(おおまがり・のぞみ)/願い:親友が壊れていく様をずっと見ていたい | |
---|---|
● 概要 陸上部に所属する明るい性格の少女。 仲の良かった友人から『自分に関わると不幸になる』という理由で距離を置かれているが、今もなお陰ながら彼女のことを見守っている。 |
● 秘密 断章〈願い〉に憑依され、『歪みの精霊』に眷属化(基本ルールブックP.159)されている。 大曲のぞみは「親友が壊れていく様をずっと見ていたい」という歪んだ願望を持っており、咲邑あまねへのいじめを裏で先導した張本人。その願いを叶えるために魔法少女となって殺し合いに参加し〈断章〉を手に入れて、自ら〈断章〉の眷属となった。 この眷属化は彼女に強い負荷を与えており、断章〈願い〉との魔法戦が終了するまでに眷属化が解除されなかった場合、彼女は死亡する。 |
● ゾーキングで得られる情報 ・なし |
|
● アクション ・断章〈願い〉のデータを公開する。 |
NPCデータ
断章〈願い〉 |
憑依先:大曲のぞみ 眷属:大曲のぞみ/『歪みの精霊』 攻:3 防:2 根源力:2 魔力:3(4-1) 領域:闇 特技:《歪み》 【教唆】《歪み》基本ルールブック P.124 【貫撃】《歪み》基本ルールブック P.162 ※禁書魔法 |
---|
メインフェイズ②
マスターシーン「2人目の魔法少女」
登場PC/全員発生タイミング/断章〈願い〉との魔法戦の後
断章〈願い〉との魔法戦の直後に発生します。
PCの背後から魔力で編まれた矢が飛んできます。PCはGMが力の領域からランダムで選んだ特技で判定することができます。成功しないとPCの【魔力】が1点減少します。その後、矢が飛んできた方向を見ると青白いドレスに身を包んだ魔法少女が立っています。彼女は「先を越されてしまったようね。今日はここまで。またいずれ会いましょう」と言ってその場を去っていきます。
咲邑あまねは魔法少女が生徒会の副会長に似ていることに気づき、それをPCに教えます。その後、ハンドアウト「二ノ瀬ゆうか」を公開してください。
マスターシーン「違和感」
登場PC/全員発生タイミング/断章〈願い〉と〈奇跡〉を回収した後
PCが断章〈願い〉と〈奇跡〉の両方を回収した場合に発生します。
PCはこれらの断章に違和感を感じます。
これらは禁書〈【初心者でも簡単!】魔法少女の作り方〉の欠片に巧妙に偽装されてはいるものの、大法典が想定する禁書とは異なる特性をそれぞれ持っていることがわかります。ゆえに実はこれらの断章は本来異なる銘を持ち、禁書〈【初心者でも簡単!】魔法少女の作り方〉よりもさらに厄介な、別の禁書の欠片なのではないかと感じられるのです。
ハンドアウト
二ノ瀬ゆうか(にのせ・ゆうか)/願い:母を助けたい | |
---|---|
● 概要 市内の中学校に通う3年生の生徒で生徒会の副会長。 整った容姿に成績も優秀で学校内では男女を問わず人気が高いが、本人はそうした声にまるで興味を示さない。 |
● 秘密 彼女は「無差別通り魔殺人事件」に巻き込まれた被害者の1人。 一緒にいた母のおかげで軽症で助かったが、彼女を庇った母は重症を負い、現在も意識が戻らず病院のベッドで眠り続けている。 事件の後、魔法少女としての力を手に入れ、母を救うために殺し合いに参加している。 |
● ゾーキングで得られる情報 ・彼女からはどことなく違和感を感じられる。 ・何らかの魔法の力を感じ取ることはできるものの、断章に憑依されているものとは違う気がする。 |
|
● アクション ・ハンドアウト「二ノ瀬のどか」を公開する。 |
二ノ瀬のどか(にのせ・のどか)/願い:娘に会いたい | |
---|---|
● 概要 市内のIT企業に勤務していた女性。 「無差別通り魔殺人事件」に巻き込まれ、今も意識が戻らないまま眠り続けている。 |
● 秘密 二ノ瀬のどかは断章〈奇跡〉に憑依されている。 無差別通り魔殺人事件の際に一緒にいた娘、ゆうかが死亡しており、その現実を受け入れきれず今も眠り続けている。 現在の娘は〈断章〉の力によって再現された偽りの存在である。 |
● ゾーキングで得られる情報 ・なし |
|
● アクション ・断章〈奇跡〉のデータを公開する。 ・ハンドアウト「二ノ瀬ゆうか」の秘密に以下の情報が追加される。 -------- 本物の二ノ瀬ゆうかは3ヶ月前に起きた「無差別通り魔殺人事件」に巻き込まれて死亡しており、現在の彼女は断章〈奇跡〉が擬態した姿である。 断章〈奇跡〉は母・のどかの強い願いに同調した影響で、自身が〈断章〉であることを忘れて二ノ瀬ゆうかになりきっており、母を救うために戦いに参加している。 彼女に魔法戦を挑み、勝利することで、断章〈奇跡〉を回収することができる。 |
NPCデータ
断章〈奇跡〉 /魔法少女〈二ノ瀬ゆうか〉 |
憑依先:二ノ瀬のどか 攻:2 防:2 根源力:3 魔力:4(5-1) 領域:夢 特技:《嘘》 魔法: 【虚身】《嘘》基本ルールブック P.162 ※禁書魔法 【特約】基本ルールブック P.125 |
---|
メインフェイズ③
マスターシーン「気配」
登場PC/全員発生タイミング/断章〈奇跡〉を回収した、あるいは8サイクル目の終了時
断章〈奇跡〉を回収した後、あるいは8サイクル目の終了時に発生します。
PCは新たに強い断章の気配を感じ取ります。この気配には悲しみや悪意などの感情が複雑に混ざりあっており、 まるでこちらを誘っているかのようにその存在を隠そうともしていません。ハンドアウト「断章の気配」を公開してください。
またこのシーン以降、ハンドアウト「魔法少女同士の殺し合い」を調査することができなくなります。
マスターシーン「絶望の環に終止符を」
登場PC/全員発生タイミング/PCが書籍卿〈遍く世界の絶望〉の秘密を調査して、書籍卿〈遍く世界の絶望〉への【運命】を上昇させた
PCが書籍卿〈遍く世界の絶望〉の秘密を調査して、書籍卿〈遍く世界の絶望〉への【運命】を上昇させた場合に発生します。
PCの脳裏に崩壊した世界の情景がフラッシュバックします。これはかつてPCが並行世界で経験した記憶です。
それはあり得たかもしれない過去。これからあり得るかもしれない未来。
並行世界での記憶。
あなたはビルの屋上のひび割れた冷たい床に倒れている。
魔力は尽きて、もはや指1本動かせない。
その視線の先では漆黒の闇が、街を、世界を、人々を、全てを覆い包んでいく。
???
「ごめんね、こんな結末で。
もう自分ですらもこの絶望を止められない。
全てはあの時の私の願いが招いたもの。
でももしも、もう一度会えたなら──」
上空で書籍卿〈遍く世界の絶望〉が、禁書〈歪なる偽りの円環〉と共にあなたを見下ろしている。
その表情はよく見えない。
書籍卿〈遍く世界の絶望〉
「もう一度だけ、違う世界で出会えたなら。
過ちを犯す前の私を、絶望から救ってあげて……。
そのために、私を倒して、私を止めて」
その言葉を聞きながら、あなたの意識は可能性の海へと溶けていく。
並行世界での記憶。
あなたはビルの屋上のひび割れた冷たい床に倒れている。
魔力は尽きて、もはや指1本動かせない。
その視線の先では漆黒の闇が、街を、世界を、人々を、全てを覆い包んでいく。
???
「ごめんね、こんな結末で。
もう自分ですらもこの絶望を止められない。
全てはあの時の私の願いが招いたもの。
でももしも、もう一度会えたなら──」
上空で書籍卿〈遍く世界の絶望〉が、禁書〈歪なる偽りの円環〉と共にあなたを見下ろしている。
その表情はよく見えない。
書籍卿〈遍く世界の絶望〉
「もう一度だけ、違う世界で出会えたなら。
過ちを犯す前の私を、絶望から救ってあげて……。
そのために、私を倒して、私を止めて」
その言葉を聞きながら、あなたの意識は可能性の海へと溶けていく。
この後、PCの意識は現実に戻ってきます。気がついたPCの手元には断章〈円環〉があります。これは前の世界で書籍卿〈遍く世界の絶望〉がPCに譲渡したものとして扱います。そしてこれによって因果が書き換わり、彼女が所有していた断章〈円環〉は消失し、PCは断章〈円環〉をプライズとして獲得します。
ハンドアウト
断章の気配 | |
---|---|
● 概要 新たに感知した断章の気配。 まるでこちらを誘っているように、その存在を隠そうともしていない。 |
● 秘密 気配を辿った先には咲邑あまねに似た魔法使いが、断章〈円環〉を手に待ち構えていた。 |
● ゾーキングで得られる情報 ・なし |
|
● アクション ・ハンドアウト「書籍卿〈遍く世界の絶望〉」を公開する |
書籍卿〈遍く世界の絶望〉/願い:咲邑あまねを絶望から救ってあげて欲しい | |
---|---|
● 概要 咲邑あまねに瓜二つの容姿を持つ、〈混血主義者〉に所属する〈書籍卿〉。 断章〈円環〉を所持している。 曰く、「〈遍く世界の絶望〉の名の元に、あらゆる場所、すべての時代、過去から未来まで、遍く可能性世界に絶望を振り撒く者」。 |
● 秘密 その正体は禁書〈歪なる偽りの円環〉の力によって並行世界からやってきた、咲邑あまねの未来の姿。 「無差別通り魔殺人事件」も「魔法少女同士の殺し合い」も、並行世界の自分自身を絶望の淵に叩き落して書籍卿にするため、彼女自らが引き起こしたものであり、これまでも数多の並行世界で同じことを繰り返してきた。 この秘密が明らかになった時、PCは書籍卿〈遍く世界の絶望〉に対する【運命】を1点上昇させることができる。【運命】の属性は好きに選んで良い。 |
● ゾーキングで得られる情報 ・なし |
|
● アクション ・書籍卿〈遍く世界の絶望〉、断章〈円環〉、禁書〈歪なる偽りの円環〉のデータを公開する ・断章〈願い〉を回収していた場合、断章〈願い〉の名前が断章〈歪み〉に書き換わる ・断章〈奇跡〉を回収していた場合、断章〈奇跡〉の名前が断章〈偽り〉に書き換わる ・PCが書籍卿〈遍く世界の絶望〉に対する【運命】を上昇させた場合、マスターシーン「絶望の環に終止符を」を挿入する |
NPCデータ
書籍卿〈遍く世界の絶望〉 |
攻:3 防:3 根源力:3 魔力:5 領域:力 特技:《絶望》《円環》《不幸》 魂の特技:《世界》 真の姿:なし 魔法: 【緊急召喚】基本ルールブック P.97 【魔剣召喚】《円環》基本ルールブック P.97 【回復】《円環》基本ルールブック P.109 【幸運】基本ルールブック P.121 |
---|
断章〈円環〉 |
攻:3 防:3 根源力:4 魔力:5 領域:力 特技:《円環》 魔法: 【魔剣召喚】《円環》基本ルールブック P.97 【王国召喚】《円環》基本ルールブック P.98 |
---|
禁書〈歪なる偽りの円環〉 ----- かつて時空を自在に行き来する魔法使いによって発見された。 遍く可能性世界に唯一つだけ存在し、人々を偽りの因果に捉える歪みの表象。 |
攻:3 防:3 根源力:4 魔力:14 領域:力 特技:《歪み》《嘘》《円環》 魔法: 【教唆】《歪み》基本ルールブック P.124 【貫撃】《歪み》基本ルールブック P.162 ※禁書魔法 【虚身】《嘘》基本ルールブック P.162 ※禁書魔法 【特約】基本ルールブック P.125 【魔剣召喚】《円環》基本ルールブック P.97 【王国召喚】《円環》基本ルールブック P.98 |
---|
クライマックスフェイズ
リミットが経過するとクライマックスフェイズに突入します。PCが断章を3つとも回収していた場合、咲邑あまねがPCに最後の戦いが終わったら願いを叶えてほしいと詰め寄ってきます。 彼女の願いが明かされていない場合は、ここで彼女は自分の願いを明かします。
PCが彼女の願いを叶えることに承諾すれば、そのまま禁書〈歪なる偽りの円環〉との戦いに進みます。
PCが彼女の願いを拒否する場合、PCは〈魂の特技〉で判定を行うことができます。成功すると、彼女の願いが彼女の本当の願いではないことが分かります。 そしてPCがそれを指摘すと、彼女は自分の本心を打ち明けて、咲邑あまねの願いが「普通の幸せが欲しい」に変更され、さらに魔法少女〈咲邑あまね〉のデータに「真の姿:魔法少女 効果:元型変化」が追加されます。この後再び、PCは彼女の願いを叶えることに承諾することができます。
また、ここまでのシーンの間に【教唆】(基本ルールブック P.124)の魔法で咲邑あまねの願いが書き換えられている可能性もあります。この場合、このイベントは省略して構いません。さらに書き換えられた願いの内容が邪悪なものでなければ、禁書〈歪なる偽りの円環〉との戦闘時に魔法少女〈咲邑あまね〉のデータに「真の姿:魔法少女 効果:元型変化」が追加されます。
禁書〈歪なる偽りの円環〉とは六分儀市の上空で戦うことになります。ここで、PCが咲邑あまねの願いを叶えることに承諾していた場合、彼女はこの戦いで立会人になることを申し出ます。彼女を立会人にするかどうかはPCが決めることができます。
結末
結末は以下の条件の達成状況によって変化します。 ①禁書〈歪なる偽りの円環〉に勝利した ②咲邑あまねの願い「自分以外の全ての人が自分よりも不幸になりますように」を拒否した/または別の願いに書き換えた ③書籍卿〈遍く世界の絶望〉との魔法戦に勝利し、とどめを刺した/または封印した ①②③の全てを満たした 書籍卿〈遍く世界の絶望〉を倒し、禁書〈歪なる偽りの円環〉が編纂されたことで、咲邑あまねが書籍卿になる未来が潰えます。これによって世界の因果が変動し、現実が書き換わります。
書籍卿〈遍く世界の絶望〉は消滅し、書籍卿〈遍く世界の絶望〉が引き起こした「無差別通り魔殺人事件」と「魔法少女同士の殺し合い」はなかったことになります。 このため咲邑あまねの家庭が崩壊することはなくなり、彼女へのいじめも起きません。 大曲のぞみは歪んだ願いを持ったままですが、それを実行に移すことはありません。彼女が死亡していた場合はその事実もなかったことになります。 二ノ瀬ゆうかと母親ののどかも「無差別通り魔殺人事件」に巻き込まれることはなくなり、彼女たちは皆幸せに暮らしていくことができるでしょう。
またこの場合、書籍卿〈遍く世界の絶望〉をアンカーにしていたPCは彼女が消滅したことにより疵が発生することになりますが、PCが咲邑あまねを救うことができたと判断できれば終了フェイズでこの疵を克服することができます。このとき、セッションで獲得できる功績点が1点上昇します。
①②のみ達成した 禁書〈歪なる偽りの円環〉は封印されて魔法厄災は阻止されます。
しかし書籍卿〈遍く世界の絶望〉が行ったことが消えることはありません。咲邑あまねへのいじめはこれからも続き、大曲のぞみが死亡していた場合は彼女は戻ってきません。二ノ瀬のどかはこれからも病院で眠り続けることになるでしょう。
①または②のいずれかが不成立 この場合、咲邑あまねはいずれ再び未来の世界で絶望を振り撒く書籍卿へと成り果てます。現実で起きたこれまでの事件が消えることはなく、事件に関わった愚者たちはこれからも傷を抱えながら生きていきます。 さらにもしPCが咲邑あまねの願い「自分以外の全ての人が自分よりも不幸になりますように」を叶えるために今後も協力するのであれば、PCもやがては〈書籍卿〉となり〈大法典〉から追われる身となるかもしれません。