シナリオ概要

探索者は湖畔のリゾートで3泊2日のモニタテストに参加することになる。
しかしそこは死者のうごめく恐怖のキャンプ場だった。
探索者は無事に生き延びて、キャンプ場を脱出することができるのか。

推奨人数:4〜6人
想定プレイ時間:3〜4時間(オンラインのテキストセッションの場合は9〜12時間)




本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


※注意:以下にはシナリオのネタバレが含まれます。























プレイヤー向け情報

探索者たちは共通の知り合いである雪村麻耶に誘われて御母蔵湖にこの夏開演予定のリゾート地に向かう。麻耶は叔父の桐山秋紀から、彼が経営する桐山リゾートがこの夏オープンする予定のリゾート施設のモニターテストを頼まれて友人である探索者たちに声をかけたという。このため探索者は雪村摩耶の知り合いとして作成する。
シナリオ中は時折戦闘が発生する。推奨される技能には〈目星〉、〈回避〉に加えて〈隠れる〉または〈忍び歩き〉などがある。また少なくとも1名は〈医学〉に秀でた者がいると活躍できるだろう。

NPC

桐山秋紀(きりやま あきのり)、グラーキの従者
年齢:47歳 職業:桐山リゾート社長
STR13 CON7 POW8 DEX9 APP11 SIZ13 INT13 EDU13
桐山リゾートの社長。イギリス、ブリチェスターへ旅行した際、その自然に感銘を受け湖畔リゾートの計画を思いついたという。

不破俊之(ふわ としゆき)、大学生
瀬場大学に通う男性。交際中の折島と共に今回のモニタテストに参加。彼女以外の参加者にはあまり興味を持たない。
年齢:20歳 職業:大学生
STR9 CON12 POW11 DEX10 APP13 SIZ13 INT15 EDU16
耐久値:13 正気度:55

折島直美(おりしま なおみ)、大学生
不破俊之と交際中の女性。
年齢:20歳 職業:大学生
STR16 CON9 POW12 DEX13 APP11 SIZ13 INT11 EDU11
耐久値:11 正気度:60
技能:隠れる40、応急手当70、登攀70、図書館60、運転(自動車)40、製作(お菓子)35、考古学50、人類学50

枢木亞里亞(くるるぎ ありあ)、ホラー作家
スプラッタ描写が評判のホラー作家。かつてその地で猟奇殺人事件が起きたという噂を聞きつけ、モニタテストに参加する。
年齢:24歳 職業:作家
STR14 CON12 POW13 DEX11 APP10 SIZ13 INT14 EDU14
耐久値:13 正気度:65
技能:オカルト80%、図書館80%、言いくるめ76%、人類学50%、博物学36%、歴史45%、その他の言語(英語) 80%

安藤幸治(あんどう こうじ)、不運にも巻き込まれた男
フリーのカメラマンとして活躍している。モニタテストへは宣伝用の写真撮影のために参加。誰とでも打ち解けることのできる好青年。
年齢:33 職業:カメラマン
STR13 CON11 POW9 DEX10 APP17 SIZ11 INT10 EDU15
耐久値:11 正気度:45
技能:写真術75%、隠れる50%、登攀70%、機械修理60%、電気修理45%、信用60%

雪村麻耶(ゆきむら まや)、探索者の友人
探索者の友人。桐山秋紀の姪で、桐山からリゾートモニターテストの誘いを受け、探索者らを誘う。
年齢:22歳 職業:大学生
STR9 CON15 POW11 DEX13 APP15 SIZ10 INT15 EDU22
耐久値:13 正気度:55


導入パート

探索者たちは共通の知り合いである雪村麻耶に誘われて、本州の山奥、御母蔵湖(みぼくらこ)に建設中のリゾート地へ向かうことになる。御母蔵湖は高さ130m、総貯水量3億7000万立方メートルを誇る御母蔵ダムのダム湖で、豊かな自然と景観に囲まれ、ボートや釣り、登山、散策に適した人気のアウトドアスポットだ。麻耶は叔父の桐山秋紀から、彼が勤務する桐山リゾートがこの夏オープンする予定のリゾート施設のモニターテストを頼まれ、友人である探索者たちに声をかけたのだと言う。



バスターミナル

時刻は午後1時。探索者たちがバスターミナルへやってくると、そこには同じモニターテストの参加者たちが待っている。ここでは探索者とNPCの挨拶や会話を通して、シナリオの登場人物たちの紹介を行うと共に、不吉な情報を伝えてこれから起きる事件の予感を匂わせるといいだろう。

<雪村麻耶>
彼女は探索者の姿を見つけると自分から話しかけてくる。今回のリゾートを楽しみにしているらしく、テンションが高い様子。
「叔父さんは昨年イギリスのブリチェスターというところに旅行に行ったそうなんです」
「その時に自然に囲まれた観光地に感銘を受けて、この構想を思い立ったって言っていました」
彼女は桐山秋紀から送られてきたという写真を探索者たちに見せる。その写真には、鮮やかな緑の木々に囲まれた青い湖の縁に大柄の男が写っている。その男は顔中に包帯を巻き、夏場だというのに全身を覆うコートを着て手には分厚い手袋を着用している。
「ごめんなさい、叔父さんは昔火事で全身に大火傷を負ったらしいんです」
「だからこんな格好をしているんですが、優しくていい人よ」
「彼とは普段はネットを通じてメッセージのやり取りをしてるから、実際に会ったことはないんだけど」

<安藤幸治>
首からカメラを下げたがっしりした体つきの男が、人懐っこそうに声をかけてくる。
「やあ、君たちもツアー参加者?」
「僕は安藤。フリーのカメラマン」
「今回は宣伝用の写真撮影のための参加なんだ。3日間よろしくね」

<枢木亞里亞>
雪村と探索者が話している途中に、黒ずくめのゴスロリを着た女が割って入ってくる。
「あんなところにキャンプ場を作るなんて、気が狂ってるとしか思えないわね」
「あそこにはかつてキャンプ場があったの」
「でも20年前、一夜にしてキャンプ場に宿泊していた男女13名が全員殺害される猟奇殺人事件が起きて閉鎖されたのよ」
「しかもその事件は公にされていない。政府によって隠蔽されてね」
〈知識〉に成功した探索者は、彼女の名前と顔を見て最近話題のホラー小説家であると気づくことができる。

<不破俊之と折島直美>
亞里亞と話をしていると、派手な格好をした男女が割り込んでくる。
「あるわけ無いだろ、そんな迷信みたいな話」
「俊之、私怖いわ!」
「心配するな、直美には俺がついてるよ」
二人はそのまま完全に自分たちの世界に入ってしまう。

出発

世間話に興じていると桐山リゾートのロゴが書かれたバスがターミナルにやってくる。ドアが開き、バスからはガイドが降りてくる。彼女は次のように探索者たちに挨拶をする。
「モニターテストに参加される方々ですね」
「この度はご参加いただきありがとうございます」
「桐山様は現地にて合流されるというお話です」
「それではこちらへどうぞ」
探索者たちが乗り込むと、バスは駅を出発する。バスは高速道路へと入り、徐々に都市部から遠ざかっていく。しばらくすると徐々に緑の山々が見えてくる。高くそびえる山々を望み、そのはるか下を透き通った水の流れる深い渓谷が横切る様はまさに絶景である。長いトンネルをいくつも抜け、ICを降り、さらに30分ほど曲がりくねった道を進むと、ようやくして巨大な人工物群が見えてくる。大自然の中、岩石を積み上げられて作られたそびえ立つダム。その周辺を夜間作業用の照明装置を備えた柱がいくつも囲んでいるのが見える。

<ホッケーマスクの男>
御母蔵湖に近づいてきた頃、探索者は〈目星〉で判定を行う。成功した探索者は、木々の影に人影を見つける。その人影はずんぐりとした大柄で男で、ボロボロの服に顔にはホッケーマスクのようなものを着け、こちらを見つめている。しかしバスが通り過ぎ、木の影に隠れた瞬間、その人影は消えてなくなってしまう。〈目星〉に失敗した場合は、気のせいだと思う。



探索パート


御母蔵リゾート

湖に到着して探索者たちを降ろすと、ガイドは施設について説明する。

「それでは、こちらが皆さまのコテージの鍵になります」
「バスは一旦引き返して2日後に再び迎えに参ります」
「桐山様はそのうちこちらに来られると思います」
「食料や道具など必要なものはコテージに用意されております」
「それではしばらくの間、皆さまでお楽しみください」
一通りの説明を終えると、コテージの鍵を渡してバスは引き返していく。この時点での時刻は4時。探索者はしばらくの間、周辺を散策しながら夕食などの準備に取り掛かることになる。

御母蔵リゾートは、湖の周辺に複数のコテージが立ち並び、中央には従業員用の管理センターがあるが、オープン前のため無人である。山あいには散策用の登山道が整備され、釣りや遊覧用のボート乗り場などがある。また近くのダムでは、現在は準備中ではあるものの、ゆくゆくはダム見学も可能になる予定だ。食事などは通常のキャンプと同じに、自分たちで食材を持ち込んで屋外の炊事場で作る形式である。今回はバーベキューやカレー用の材料や調理器具、金網、食器類、またソフトドリンク、アルコール飲料などが各コテージに用意されている。火を起こすための薪も小屋に置いてある。

安藤は「せっかくだから、皆でバーベキューでもしよう!」と提案するが、不破と折島は自分たちでやるからパスとコテージへ行ってしまい、亞里亞も執筆活動があるからと自分のコテージへ向かってしまう。亞里亞によると、連続殺人が起きたこの地での執筆はインスピレーションが湧くという。後には探索者たちと摩耶、安藤が残される。

map

<プレイヤー資料:キャンプ場マップ>


<キャンプ場周辺>
キャンプ場の周辺で〈目星〉や〈博物学〉に成功した探索者は、周辺の木々の枝に突き刺された虫やカエルの死骸に気づく。〈博物学〉で判定していた探索者は、さらにそれらがモズのハヤニエと呼ばれるものであると気づく。

<コテージ>
簡単なキッチンや寝室を備えた宿泊施設。キッチンの冷蔵庫には3日分の食料品や飲料が格納されており、シャワーや冷暖房器具も完備。ベッドは2人分で、真新しいシーツが敷かれている。

<遊覧ボート>
湖の淵にあるボートの貸場。ボートは全て斧かチェーンソーのようなものでズタズタに傷つけられ、底には大きな穴が空いている。周囲には複数の足跡を発見することができる。

<センターコテージ>
誰でも使える休憩所兼、従業員たちが働くオフィス兼休憩所になっている。土産物屋なども販売される予定ではあるが、現在はもぬけの空。小さなオフィスに清掃用具などを備えた倉庫や簡単な仮眠室などがある。尚、管理センターには緊急用の薬品、傷薬や包帯などが常備されていて、探す場合は〈目星〉に成功すれば手に入れることが出来る。

<薪小屋>
火を起こすために使用できる薪が収納されている。バーベキューなどを行う場合はここから持っていくと良い。火かき棒のほか、薪割り用の斧も2つほど手に入れることが出来る。

<ダム>
道路を1kmほど下った場所にダムがある。徒歩で1時間程度。ダム横に管理棟があり、夜間は4名ほどの当直の従業員が代わる代わる働いている。ダムの周囲には夜間作業用のいくつもの巨大な照明が備えられている。現時点では距離もあり、夕食の準備を優先するためここまで行く余裕はない。

<不破と折島>
少しの間2人にしておいてほしいといい、コテージへと向かう。探索者が訪れても邪魔をしないでほしいと追い返されてしまう。

<亞里亞>
リゾート地を見て新作の着想を得たと言ってコテージへ向かう。コテージには内側から鍵がかけられている。探索者が声をかけると邪魔をしないでと不機嫌そうな彼女の声が帰ってくるだけで、相手にはしてもらえない。



異変

日が暮れてきたところでグラーキの従者たちが活動を始める。キーパーはその間に探索者がバーベキューコーナーで食事をしているように誘導すると話を進めやすいだろう。

<不破と折島>
彼らは2人でいるところ、折島が窓の外にいる不審者(グラーキの従者)を発見する。様子を見に行った不破は彼らにあっけなく殺害されてしまう。戻ってこない彼の様子を見に行った折島は、不破の死体の第一発見者となる。探索者たちは各々過ごしているとことで彼女の悲鳴を聞くことになるだろう。探索者が駆けつけると湖の近くの森の中に折島直美が正面を向いたまま呆然と立ち尽くしている。彼女の視線の先を追うと、そのあたりの木に赤黒い汚れのようなものがあり、探索者は不破俊之の無残な死体を発見する。

彼の頭部や腹部は分厚い刃物で深く切りつけられ、そこから大量の血液が流れ出ている。左腕はちぎり取られて地面に無造作に転がっている。そして、胸の中心には長さ1mほどの黒く太い巨大な棘のようなものが突き立てられていて、彼の体を背後の木に固定している。

不破の死体を目撃した探索者は1/1D4+1の正気度ポイントを失う

<医学>に成功すると、彼が殺されたのはつい先ほどであり死因は外傷による大量出血だとわかる。また胸を貫いている棘は死後突き刺されたものであり、棘の突き刺さった個所を中心に網目状に赤黒い血管が浮き出ているのが確認できる。

彼を発見した場面で〈聞き耳〉に成功すると、湖からザザァと何か大きな波音が聞こえる。湖を見れば湖面に波が立っていて、大きな波紋がやがて消えていく。地面には何か大きなものが引きずったような跡が湖に向かって続いている。

携帯電話を確認した探索者は画面に圏外と表示されていることに気づく。さらに<アイデア>ロールに成功することで、探索者はキャンプ場到着時には確かに電波が立っていたことを思い出すことができる。

<亞里亞のコテージ>
コテージに鍵は掛かっておらず、窓ガラスが割れているのが確認できる。部屋の中は荒らされている。コテージに入るとむせ返るほどに血の香りが漂っており、扉の正面には変わり果てた枢木亞里亞の姿がある。彼女は全身をチェーンソーのようなものでズタズタに引き裂かれ、纏う衣装を赤黒く染めている。左目は恐怖により見開かれ虚空を凝視し、右の眼球には長い棘のようなものが撃ち込まれている。探索者は変わり果てた彼女の姿を目撃して1/1D4+1の正気度ポイントを失う。

彼女の足元には執筆中の原稿用紙が散らばっている。タイトルには【グラーキの黙示録】と記されている。これらをかきあつめ、〈日本語〉技能に成功すれば1時間ほどで原稿の内容を理解することが出来る。失敗した場合も内容を理解することは出来るが、成功時の倍の時間がかかる。中には次のようなことが書かれている。

【グラーキの黙示録】
・「無数のトゲを持つ怪物」はイギリス・セヴァン谷の湖の底に住んでいる。
・その湖には世界中の湖に通じる門があり、怪物は門を通して外の世界に影響を与えることが出来る。
・「無数のトゲを持つ怪物」のトゲに刺され死亡したものはそのトゲから毒を注入される。
・この毒を注入されたものは、アンデッドの奴隷、彼の従者として蘇る。
・「無数のトゲを持つ怪物」の従者となったものは、徐々に体がしなびていき、やがてゾンビのような姿に成り果てていく。
・ゾンビとなって長い時間を過ごした従者は強い光に弱く、さらされると崩壊を起こし朽ち果ててしまう。

彼女の原稿を読んだ探索者はクトゥルフ神話技能を3%獲得し、0/1D3の正気度ポイントを失う。



不死者の襲撃

このイベントは亞里亞の部屋で彼女の死体を発見した後、探索者が屋外にいる場面でタイミングを見て発生させる。

探索者はキャンプ場のバーベキューコーナーの方からやってくる人影に気づく。その人影は全身を包帯に包んだ大男で、それを見た雪村がほっとしたような表情を浮かべる。

「あれは、おじさん!」
「よかった。今大変なことになっていて」
彼女がその人影に声をかけようとしたところで、ヒュンと空を切り裂くような音がして探索者たちを一瞬何かがかすめる。途端、短く悲鳴を上げて雪村が倒れる。彼女の右足にはボウガンの矢が突き刺さって腿を貫通している。傷口からは大量の血が滲み出している。
<雪村の状態>
この時点で雪村は倒れたまま激痛に苦しんでいる。彼女の耐久力は残り7ポイントまで減少しているが、矢が深く突き刺さっているため矢を抜くまでは応急手当などでダメージを治療することはできない。また矢を抜いたとしても早急に施設の整った場所で治療を受けなければ命が危ないことが分かる。矢を抜いたとしても彼女は病院などで適切な治療を受けるまでの間、ゲーム内の時間で30分毎に1D3ポイントの耐久力ダメージを受け続ける。矢を抜いていれば彼女がダメージを受ける毎に〈応急手当〉または〈医学〉を行うことができる。この判定に成功すれば、その場で耐久力を1D3ポイント回復することができる。

矢を抜くには〈医学〉ロールを行う必要がある。この判定に失敗したり無理やり抜いた場合には彼女の耐久力に1D8のダメージを与えることになる。〈医学〉に成功した場合はいくらかダメージを減少させられるが、それでも1D4ポイントの耐久力ダメージを受ける。

桐山は右手にボウガンを構え、左肩にチェーンソーを担いで立っている。彼は探索者たちを見るとボウガンを投げ捨てて顔に巻かれた包帯を引きちぎる。探索者はそこにある火傷というには生易しいほどの悍ましい様相を目撃する。彼のただれた皮膚は悍ましいく変色して口は頬まで裂けて酷い乱杭歯がのぞいており、鼻は欠けて半ば朽ち、右目は潰れて暗い眼窩が覗いている。そしてその空洞を中心に、赤黒い血管が網の目のように浮き出ている。彼はチェーンソーを右手に持ちかえると切っ先を探索者たちに向け、エンジン音を響かせながらチェーンソーの刃が高速で回転を始める。さらに探索者は森の中に他にも多くの、桐山と同じような様相をした者たちが様々な凶器を手にこちらを見つめていることに気づく。

<グラーキの従者たちの能力>
STR11 CON24 SIZ12 INT9 POW13 DEX5
移動5 耐久力18
ダメージボーナス:+0
武器:組み付き 20%、ダメージ組み付き
パンチ 50%、ダメージ1D3
ナイフ 40%、ダメージ1D4
鎌 40%、ダメージ1D6+1
斧 30%、ダメージ1D8+2
ボウガン 20%、ダメージ1D8+2
チェーンソー 20%、ダメージ2D8

※ここで現れるグラーキの従者は、それぞれ上記のうち1つだけ武器を所持している。
所持している武器は1体ごとに1D6を振り、出た目に応じて決定する。
1:パンチ
2:ナイフ
3:鎌
4:斧
5:ボウガン
6:チェーンソー

<桐山 秋紀、グラーキの従者>
STR17 CON30 SIZ16 INT13 POW8 DEX4
移動5 耐久力23
ダメージボーナス: +1D6
武器:チェーンソー 30%、ダメージ2D8
ボウガン 30% ダメージ1D8+2
技能:忍び歩き 35%



発狂する折島

このイベントは、逃走中に任意のタイミングで差し込む。折島は探索者の言葉に従って一度は避難するものの、不破の死を受け入れることができていない。そんな彼女が突然「俊之が呼んでいる」と言って森の中に走り出そうとする。彼女を止めるには〈精神分析〉や〈説得〉などで落ち着かせるか、力づくで抑え込む必要がある。ただし力づくで抑えた場合や〈言いくるめ〉でどうにか収めるという手段はその場しのぎであり、効果は極めて薄い。〈精神分析〉で落ち着かせることができれば彼女は探索者たちと協力して窮地を脱する手助けになるかもしれない。

彼女を止められなかった場合、彼女は従者が振り上げた凶器によって無残にも殺害される。目の前で折島が殺される場面を目撃した探索者は1/1D4の正気度ポイントを失う。



グラーキの従者からの逃走

グラーキの従者から逃走するには以下に従って処理を行う。ただしこの他にも、キーパーは探索者の持つ技能やプレイヤーからの提案を考慮した上で、適切だと思われる処理を採用したり、判定にボーナスやペナルティを与えても構わない。

<隠れながら移動する>
まだ敵に察知されていない状態であれば<隠れる>または<忍び歩き>に成功すれば、発見されずに逃げることができる。

<逃げる>
従者に発見された場合も、従者たちのDEX(=5)と探索者のDEXを抵抗表で競わせ、探索者側が勝利すれば逃走することができる。

<雪村の救助>
雪村は負傷のため動くことができず、誰かが彼女を背負う必要がある。彼女を背負う探索者は、彼女のSIZと自分のSTRを対抗表で競わせる。成功した場合はペナルティはないが、失敗した場合はグラーキの従者とのDEX抵抗ロールに-20%のペナルティを負う。

<どこかに立てこもる>
探索者がセンターコテージなどに立てこもる作戦を立てることが考えられる。ただしそうした場合も一時しのぎにしかならず、1時間もすれば北東の方角から彼らが集まってくる。

以降では、探索者が何か判定を行うたびに30分〜1時間程度、ゲーム内の時間が経過するものとして処理をしていくといいだろう。そして最終的に探索者がダムへ向かって移動するように、キーパーはグラーキの従者たちを操作しながら誘導する。



クライマックス


ダムへ移動する

キャンプ場から南へ数十分ほど移動すると、遠くにダムの施設が見えてくる。ダムの周囲には夜間作業用の照明装置が設置された柱が何本も立っている。そのダムの横には駐車場と管理センター、電源などの制御施設がある。駐車場には何台か車が停められているが、どれもタイヤや燃料タンクなどを破壊されていて走れそうな状態ではない。

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<プレイヤー資料:ダム管理センター外観>

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<プレイヤー資料:ダム管理センター1F>

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<プレイヤー資料:ダム管理センター2F>



管理センター


ロビー

ガラスは割られ、椅子などの備品は全て破壊されている。床や壁には夥しい量の血液が飛び散っており、正面の壁際には当直の従業員と思われる、作業服を着た死体が横たわっている。死体を確認すれば、キャンプ場で見た死体とは異なり、棘は刺されていない。


受付

ここにもいくつかの死体が転がっている。固定電話が設置されているが、受話器を上げても反応はなく、外部に電話をかけることはできない。さらに部屋の中で〈目星〉に成功すると、壁にかけられた鍵の束から「制御施設」とタグの付いた鍵を発見することが出来る。


リフレッシュルーム

従業員が休憩や仮眠を取るための部屋。従業員が休憩時に持ち込んであろう雑誌類などの私物のほかテレビやソファー、ベッド、毛布などが用意されており〈目星〉に成功すれば医療キットを発見することが出来る。医療キットを使う場合、怪我の治療を行う際に〈応急手当〉や〈医学〉の成功率に+20%のボーナスが加算される。


オフィス、オペレーションルーム

オフィスが併設された管制ルーム。オフィス側には無残に惨殺された死体がいくつか転がっている。オペレーションルームでは、ダムの開閉や照明の制御などを行うことができる。これらの操作を行うためのマニュアルは、オフィス側で〈目星〉や〈図書館〉に成功すれば発見することができる。マニュアルを読めば照明設備の制御方法が分かる。

<夜間照明の起動方法>
・制御施設で、照明設備への電源供給スイッチをONにする
・スイッチがONにされるとオペレーションルームのランプが点灯(現在は消灯している)
・3分以内にオペレーションルームのコンピュータを操作する(この際に〈コンピュータ〉またはINT×4で判定を行い、成功すると無事にステムを起動することができる)
・3分を超えると、自動的に電源供給は遮断される


制御施設

ダム施設の電源を管理するための建物。入り口には鍵がかかっており、〈鍵開け〉に成功するか受付で鍵を入手する必要がある。内部にはダム各所の電源を制御するためのいくつかのスイッチがある。これらは管理センター内のオペレーションルームのコンピュータと連携しており、スイッチを操作するだけでは何も起きない。オペレーションルームから何も操作しない場合、スイッチを押しても3分ほどするとスイッチが解除されてしまう。



光を灯せ

照明設備を起動しようと探索者が駐車場に出たあたりで、ゾンビの群れが管理センターに押し寄せてくる。駐車場にはゾンビの群れを率いた桐山が、キャンプ場から管理センターに向かってくる様子に気づくことができる。彼らに気づかれないように電源施設に向かうには〈隠れる〉あるいは〈忍び歩き〉の判定に成功する必要がある。
探索者が制御施設に向かおうとすると、ガシャン!と大きな音が聞こえる。音がする方を見れば、管理センターの入り口のガラスが割られ、そこからゾンビたちが中に侵入しようとしていることが分かる。

4体のグラーキの従者が管理センターに潜入してくる。彼らはまず1ターンで2階へ上がり、次のターンにオペレーションルームへと侵入を試みてくる。扉を開けるには1ターンを要するが、もし机などでバリケードを設置すれば、扉が20点相当のHPを持つものとして扱うことが出来る。

また駐車場には3体の従者を従えた桐山が電源施設に向かう探索者たちに襲いかかる。彼らから隠れながら電源施設に向かうには毎ラウンド〈隠れる〉に成功する必要がある。また〈隠れる〉に失敗した探索者はDEX対抗ロールで彼らを振り切りながら進むことが出来る。電源施設までたどり着くには少なくとも2ターンかかる。
桐山は1ラウンドをかけて呪文の詠唱を開始する。彼の呪文は次のターンの開始時に発動し、ダム湖の中からグラーキが出現する。呪文が発動すると、突如、ズズズ……と地面が振動する。同時にダム湖には波紋が浮かび、やがてそれは大きな波になって広がっていく。そして水面が不気味に盛り上がり、水しぶきを上げて巨大な影が姿を現す。それは楕円形の体で、全身から無数の、様々な色が入り混じった金属製のトゲが突き出している。また楕円の尖っていない方の端には厚い唇がついた口のようなものが開いており、そのすこし上から伸びる3本の細い茎のようなものの先には黄色く光る目がついている。そびえ立つような怪物は体を起こすと、耳をつんざくような振動音と共に脈打って震えはじめる。

グラーキの姿を目撃した探索者は1D3/1D20の正気度ポイントを失う。

グラーキのデータは「クトゥルフ神話TRPG」P.214を参照。グラーキは出現するだけで、自ら探索者を攻撃することはない。ただしグラーキの従者に捕まったり、気絶や死亡に追い込まれた探索者がいた場合は、その探索者に向けて棘を突き刺して従者にしようとする。

以下には、クライマックスでの処理についてまとめて記載する。

<屋外の移動処理>
・毎ターン〈隠れる〉に成功することで、彼らに発見されずに移動出来る
・発見された場合は、彼らが襲いかかってくる
・発見されてもDEX対抗ロールに勝利すれば、彼らを振り切り移動することが出来る
・電源設備までの移動には2ターンかかる
・さらに電源設備でスイッチを探し、ONするのに1ターンかかる

<屋内の立てこもり処理>
・STR×5判定に成功することで、机などでバリケードを設置可能
・バリケードのHPは探索者の(STR+SIZ)/2で決定。人数分設置可能
・オペレーションルームの端末の操作には、1ターンかけて判定に成功する必要がある
・端末の操作は電源が投入されてからでないといけない。電源投入はランプで分かる

無事に夜間工事用の照明が起動されると、紫外線を含む強烈な光が周囲を照らし、光を浴びたゾンビたちが動きを止める。周囲には亡者たちの悲痛な唸りが響き渡る。ゾンビたちの体には染みのような緑の小さな斑点が現れ、それがどんどんと大きくなり、全身へと広がっていく。やがて足がくずれ、腕が落ち、彼ら全員、緑色のドロドロとした液状へと変異して崩れていく。



結末


生還

ダムの照明で何かを察知した地元の作業員たちにより、探索者は救出される。しばらくの間大量殺人事件の参考人として警察に拘束されるが、捜査は途中で打ち切られ、犯人およびその動機が不明のまま事件は迷宮入りとなる。真相を知っているのはあの悪夢のような一夜を生還した探索者たちのみとなるだろう。



クリア報酬

シナリオクリア:1D10
NPCの生存:1D6×生存人数

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