シナリオ概要

映画サークルの試写会に参加することになった探索者は、試写会が行われる山奥の別荘、「幻黄館」へと足を運ぶことになる。 しかし、この時は誰も気づいていなかった。その場所で、恐ろしい事件に巻き込まれることになろうとは──

推奨人数:2人
想定プレイ時間:3時間(オンラインのテキストセッションの場合は9時間)



※本シナリオは「新クトゥルフ神話TRPGルールブック」に対応しています。
 旧「クトゥルフ神話TRPG」向けのシナリオはPixivを参照ください。


本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『新クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「新クトゥルフ神話TRPG ルールブック」


※注意:以下にはシナリオのネタバレが含まれます。























キーパー向け情報

発端は1年前。呪われた物語『黄衣の王』の話を耳にした瀬良玲奈は、当時彼女が所属していた映画サークルに『黄衣の王』を題材にした映画の制作を提案する。これにサークルの他のメンバーも賛同して、映画「幻黄館の殺人」が制作されることになる。撮影は順調に進み映画は無事に完成するものの、ここで1つの事件が起きる。脚本を担当した瀬良玲奈が大学のサークル棟から飛び降りて死亡したのだ。警察は争った形跡がないことなどから自殺と判断するものの、彼女に明確な動機はなく不審に思う者たちもいた。ほどなくして大学では「彼女の死は『黄衣の王』の呪いによるものだ」という噂が流れはじめる。部長の黒沼はこの噂に、自分の作品とプライドに泥を塗られたように感じ、サークル内でこの話題を出すのを禁止するのだった。

この時、実は映画「幻黄館の殺人」の制作を快く思っていないメンバーがいた。それが黄衣の王を崇める黃島佑樹だ。この映画は『黄衣の王』を題材としたホラー・サスペンス映画だが、クライマックスでは弱点に気づいたヒロインが『黄衣の王』を撃退してハッピーエンドで終了する。これは彼が信仰する王への侮辱に他ならない。撮影後、彼は瀬良玲奈を自殺に見せかけて殺害すると、残りのメンバーも皆殺しにして王への生贄に捧げようと考える。人里離れた幻黄館で行われる予定の試写会は、舞台としては都合がいい。そこでならば余計な邪魔は入らないと考えた彼は、今回の殺人計画を企てるのであった。

彼の計画は次の通りだ。黃島は試写会のためにシアタールームで準備をしている黒沼を殺害する。そして皆で死体を発見した後、怯えたフリをして館の外へ逃げ出していく。そこで唯一の逃走ルートである釣り橋と撮影に使用したダミーの人形を谷底に落とし、自分は周囲の森に身を隠す。こうして自らが死んだと見せかけて、自由になった彼は隙きを見ながら1人また1人と残りのメンバーを始末していくのだ。館には映画サークルのメンバー以外にも、管理人の荘山やゲストとして招かれた探索者もやってくる。彼らは映画とは無関係であるものの、この際、生贄は1人でも多い方がよいだろう。こうして惨劇の夜が始まっていく……。

genkokan_npc.jpg


NPC


風見 花梨(かざみ かりん)

大学2年生。女性。探索者の知り合いで、探索者を今回の試写会に誘った人物。明るく快活な性格で、誰とでもすぐに仲良くなる。彼女は最近になってこの映画サークルに入ったばかりで、まだ映画の制作には関わっていない。このため映画の内容や瀬良玲奈の自殺事件ついては詳しく知らない。

年齢:19歳 職業:大学生
STR 55 CON 50 SIZ 60 INT 60 POW 65 DEX 55 APP 70 EDU 70
正気度 65 耐久力 11 幸運 70
DB:0 ビルド:0 MP:13 移動:7
技能:目星60%、聞き耳65%、信用25%、芸術/制作(映画)40%

風見花梨

黄島 佑樹(きじま ゆうき)

大学2年生。サークルでは花梨と並んで最年少で、脇役やその他諸々の雑用を押し付けられている。やや幼い印象を受ける顔立ちで、言われたら断れない優柔不断な性格。このためか部長や美香からはいつも使い走りにされている。
その本性は黄衣の王を崇めるカルティストであり、今回の事件の真犯人でもある。

年齢:20歳 職業:大学生
STR 60 CON 45 SIZ 60 INT 75 POW 70 DEX 60 APP 55 EDU 70
正気度 0 耐久力 11 幸運 50
DB:0 ビルド:0 MP:14 移動:8
武器:斧 40%、ダメージ1D6+1
技能:目星70%、聞き耳60%%、信用20%、芸術/制作(映画)50%、
回避24%、クトゥルフ神話10%、オカルト70%、心理学70%

黄島佑樹

黒沼 晶(くろぬま あきら)

大学3年生。男。映画サークルの部長で、監督を務める。祖父が有名な映画監督らしく、自分にも映画の才能があると考えている。プライドの高い完璧主義者。瀬良玲奈の死によって、今回の映画『幻黄館の殺人』が呪われた映画などと噂されることに対し、自らの作品に対する侮辱だとして腹を立てている。

年齢:22歳 職業:大学生
STR 50 CON 45 SIZ 65 INT 70 POW 45 DEX 60 APP 50 EDU 75
正気度 45 耐久力 11 幸運 35
DB:0 ビルド:0 MP:9 移動:7
技能:信用30%、経理60%、図書館50%、芸術/製作(映画)70%、目星70%

黒沼晶

奥部 美香(おくべ みか)

大学3年生、女。サークルの自主制作映画では主演女優を務める。裕福な家の生まれで、幻黄館は彼女の父親の持ち物だ。艶のある黒髪に目鼻の整った美人だが、我がままな性格で見下したような態度をとりがちである。そうした性格を他のメンバーたちは内心あまりよく思ってはいないものの、サークルの活動資金や撮影場所を提供してくれる手前、頭が上がらないでいる。

年齢:21歳 職業:大学生
STR 60 CON 65 SIZ 60 INT 55 POW 60 DEX 60 APP 85 EDU 70
正気度 60 耐久力 10 幸運 50
DB:0 ビルド:0 MP:12 移動:8
技能:聞き耳70%、芸術/制作(演技)65%、信用70%

奥部美香

金井 英治(かねい えいじ)

大学4年生、男。サークルでは主に撮影や編集を担当。根っからの特撮・映像オタクで、サークル活動に入れ込んだ結果、2年留年している。マイペースな変り者のようにも見えるが意外と気配りのできる性格で、年下であるサークルメンバーたちを気遣う一面もあり、瀬良玲奈の自殺について疑問を抱いている。

年齢:24歳 職業:大学生
STR 65 CON 55 SIZ 75 INT 75 POW 55 DEX 45 APP 60 EDU 80
正気度 55 耐久力 13 幸運:65
DB:+1D4 ビルド:1 MP:11 移動:7
技能:写真術70%、信用20%、コンピュータ75%、芸術/制作(特撮)80%、芸術/制作(動画編集)75%、運転(自動車)50%

金井英治

瀬良 玲奈(せら れいな)

映画サークルの脚本担当。本が好きなおとなしい性格。夢であった小説家としてのデビューを目前に、サークル棟の屋上から飛び降りて死亡。世間では自殺とされているが、実は黃島佑樹によって殺害されたものだ。

年齢:20歳 職業:大学生
STR 40 CON 65 SIZ 55 INT 65 POW 60 DEX 40 APP 55 EDU 65
正気度 60 耐久力 12 幸運 60
DB:0 ビルド:0 MP:12 移動:8
技能:信用20%、図書館70%、芸術/製作(脚本)80%

瀬良玲奈

謎の人物、黄衣の怪人

幻黄館を訪れた探索者が、吊橋の手前で見かけた人物。黄色のローブに身を包み、青白い仮面で素顔を隠している。 その姿はあたかも、映画サークルの自主制作映画に登場する怪人、『黄衣の王』のそれであった。

黄衣の王

NPCの立ち絵画像について

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・リプレイ動画、ネット配信などでご使用の際は著作権者を表記お願いします。
・営利目的の利用に関してはご相談ください。

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導入

舞台は現代日本。季節は何でもいい。探索者は知り合いである風見花梨と共に幻黄館へと向かう。
幻黄館は花梨が所属する映画研究会の自主制作映画『幻黄館の殺人』のロケ地でもある山間の洋館。『幻黄館の殺人』は館に集まったメンバーたちが謎の怪人に一人また一人と殺されていくというホラー・サスペンス映画ということだ。険しい山道を車で移動し、正午過ぎになって深い谷川の手前にある駐車場に到着する。幻黄館はそこから歩いて数分のところにあり、車を降りてしばらく歩くと、長い吊橋の先に目的の洋館が見えてくる。

探索者は吊橋の先にいる人物に目が止まる。黄色いフードに黄色いローブ、全身が黄色で覆われた人物が館の前に立っているのだ。フードの奥にある顔は青白い仮面のようなもので隠されている。この人物の正体は黄衣の王の姿に扮した黃島佑樹だが、この時点では探索者がこの人物の正体を知る由はない。彼はそのままゆっくりと館へ入っていく。
この人物については当然、風見花梨も心当たりはない。本日の参加者はサークルのメンバーと探索者だけであると知らされている彼女は、サークルメンバーの誰かか近所に住んでいる人なのではと思いこむ。しかしこの館から近くの街までは数10km離れた場所にあり、近所に住んでいる人もいない。用もなくこんな場所までやってくるのは奇妙なことだ。

やがて吊橋を渡ると館に到着する。幻黄館は古いヴィクトリアンスタイルの木造の洋館で、インテリアは落ち着いたアンティーク風の家具と薄い黄色を基調としたダマスク模様の壁紙で統一されており、天井から吊り下げられたシャンデリアの柔らかい明かりが上品な雰囲気を醸し出している。玄関を入るとロビーには誰もいないが、すぐにサークルのメンバーたちが2Fから階段を降りてやってくる。話を聞けば彼らは30分ほど前に到着して、荷物を部屋に置いてきたところと分かる。ここで風見花梨がメンバーを1人1人、簡単に探索者に紹介する。キーパーは次のように風見花梨のセリフを通じて、あるいは簡単にまとめて、それぞれのNPCについての情報を提示すること。

『こちらが監督の黒沼部長。なんとお祖父さんが有名な映画監督らしいんです。
 隣のきれいな人が主演女優の奥部先輩。この館は先輩の家のものなんですよ。
 奥にいる撮影映像担当の金井先輩は2年留年してるから、サークルでは一番古参です。
 その横が同級生の黃島君。役割はエキストラから雑用まで幅広く。
 私はまだ入ったばかりだから役割とかはこれから。』

黄色の男について

このイベントは探索者が館の前で見た黄色の男についてメンバーたちに訪ねた場合に差し込む。探索者から言い出さない場合は、NPCの花梨から話を出すといいだろう。
黄色の男について、先行して館に到着していたサークルのメンバーたちは誰も、そんな人物は見ていないと証言をする。話を聞いた金井は「もしかして黄衣の王じゃないか?」と言う。『黄衣の王』というのは彼らの映画に登場する悪役で、メンバーたちは誰かの悪戯ではないかと考えるが、誰も自分だとは名乗り出ない。探索者が『黄衣の王』を目撃した時間、彼らは各々の部屋に荷物を置きに向かっていたところだという。
もし黄衣の王について探索者が知ろうとしても、サークルのメンバーは試写会を前に詳しく説明するのは映画のネタを明かすことになるといってこの時点では教えてくれない。
実は『黄衣の王』に扮していたのはサークルメンバーの1人である黃島佑樹なのだが、彼は自分から名乗り出ることはなく、この時点では誰も『黄衣の王』の正体を知る由もない。
しばらく話をしていると、黃島は青ざめた表情を浮かべて怯えながら「やっぱり黄衣の王の呪いじゃないか?あの映画は撮っちゃいけなかったんだ」と話す。すると突然、部長の黒沼が「その話はもうするなと言っただろう!呪いなんて存在しない」と怒鳴りつける。
実は彼らの大学では『映画研究会の映画は呪いの映画だ』『瀬良玲奈の自殺は呪いによるものだ』という噂が流れており、プライドの高い黒沼はこうした噂によって自分の映画に泥を塗られたことを疎ましく思っていたのだ。この噂を流したのも他でもない黃島なのだが、サークルのメンバーたちは知る由もない。黒沼は不機嫌そうにしながら「もういい。試写会の準備がある」といって1人でシアタールームへと向かっていく。

この時点で得られる情報は次のようなものである。

  • 風見花梨は探索者と一緒に幻黄館に到着。彼女を除く他のサークルメンバーは、全員一緒に30分前に館に到着していた。
  • 探索者が黄色の人物を目撃した頃、他のサークルメンバーは荷物などを置くために自分の部屋に行っていた。
  • 他のサークルのメンバーたちは、館で探索者たち以外の客を見ていないと証言する。
  • 今回の参加者はこれで全員で、他に来客の予定はない。

  • 不在の管理人

    館は人数分の部屋が用意されており、キッチンにも食材などが買い置きされていたにも関わらず、なぜか管理人が不在である。自己紹介が終わったところで「それにしても困ったわ」と奥部美香が事情を話す。管理人の荘山とは今朝から連絡が取れず、彼女は少し苛立っている。荘山は50代半ばの男で麓の町に住んでおり、脱サラ後、美香の父親から館の管理を任されている人物だ。性格は真面目で几帳面。料理の腕もよく、撮影のために何度か館を利用したサークルのメンバーたちからも評判がいい。そんな人物が無断で姿をくらますのは奇妙なようにも感じられる。
    幸い美香もこの館の勝手は分かっているため、腑に落ちないながらも彼女は管理人室にある鍵の収納ボックスから取り出してきた部屋の鍵を探索者に配る。

    幻黄館

    黄風館の殺人_マップ
    <プレイヤー資料:黄風館マップ>

    食堂・キッチン

    中央に大きなダイニングテーブルがあり、その周囲に人数分の椅子が並べられている。天上からはシャンデリアが吊り下げられており、壁際には暖炉が設置されている。

    談話室

    宿泊客がゆっくりと寛ぐことができる空間。大型テレビの前にソファが並べられており、周囲には本や雑誌を収納したブックシェルフやコーヒーメーカーなどが設置されている。棚の上には写真が立てられている。

    シアタールーム

    試写会の会場となる部屋。部屋には大型のスクリーンが設置され、その手前にソファが並べられている。スクリーンの左右と部屋の四隅には本格的な音響装置が備えられている。

    管理人室

    事務用の机にはパソコンや備え付けの電話機などがあり、壁にはキーボックスが設置されている。電話機は各部屋に設置された内線電話につながっている他、外部との連絡も可能である。またキーボックスには館内の各部屋の鍵とマスターキーが収納されている。

    客室

    各部屋は共通の間取り。1組のテーブルと椅子、内線電話、ベッドなどが設置されており、さらにそれぞれの部屋にはクローゼットや独立したユニットバスがある。また部屋の奥には館の周囲に広がる森を見渡す大きな窓がついている。入り口のドアには鍵がついている。

    倉庫

    倉庫には掃除用具や工具といった雑多なものの他、以前に映画の撮影に使用した機材などが収納されている。現在は入り口に鍵がかかっていて入ることができない。



    試写会までの行動

    試写会は16時からシアタールームで行われる予定になっている。それまでの間、探索者は館の中をいくらか散策することができる。

    談話室

    談話室では金井英治が棚に飾られた写真立てを見つめている。彼は写真にはロケを行った時のものだと説明する。写真には以前からの映画研究会のメンバーである黒沼、奥部、黃島、金井の4人に加えて、もう1人、メガネをかけた女子学生が写っている。金井に尋ねれば、昨年まで映画研究会に所属していた瀬良玲奈だと教えてくれる。彼女は去年までこのサークルにいて、脚本を担当していたのだという。
    瀬良玲奈は昨年までサークルに所属していたものの、彼女が脚本を書いた「幻黄館の殺人」の撮影終了後、サークル棟の屋上から飛び降りて死亡している。
    警察は彼女の遺体に争った形跡などがないことから自殺と判断したものの、自殺の理由はよく分かっていない。瀬良は当時、小説家としてデビューするという話もあったといい、金井は彼女の死を不審に感じている。

    シアタールーム

    シアタールームの前には黃島が立っている。部屋の中で試写会の準備をしている黒沼に締め出されたらしい。彼は「部長は完璧主義なところがあってね。こういう仕上げは誰にも邪魔されたくないんだ」などと説明をする。入り口のドアには準備中と書かれた札が貼られており、内側から鍵が掛けられている。黃島は探索者に怒られたくないなら、あまり騒がないほうがいいなどと伝えて追い払う。

    ロビー

    ロビーには風見花梨の姿がある。彼女は館に来たときに見た黄色い人物のことがどうしても気になって、何か手がかりがあるかもしれないから館の外でも見て回ってみたいと話す。探索者が望むなら、彼女と一緒に館の周囲の捜索に出かけることになる。

    屋外

    屋敷の周りを見回っていると、地面に落ちているブローチを発見する。ブローチには黒くツルツルとした石がはめ込まれていて、そこに黄色い奇妙な刻印が描かれている。この石に描かれた図形は、中央の丸い目玉のようなものがらぐねぐねとねじれた3本の羽のようなものが伸びている。
    黄色の印 〈クトゥルフ神話〉ロールに成功した探索者であれば分かることだが、これは『黄衣の王』に通じる象徴である「黄色の印」だ。
    探索者がこの図形を注意深く見てしまったなら、よじれた羽が長く伸びる腕のように変形して探索者を捉え、渦の中心へと引き込まれていく幻覚に囚われることになるだろう。この幻覚は一瞬で終了するが、この幻覚を見た探索者は0/1D3の正気度ポイントを失う。
    ブローチにはめ込まれた石に対して〈科学(地質学)〉や知識の半分のロールに成功すれば、この石がオニキスという種類の鉱石であることが分かる。〈オカルト〉に成功した探索者は、この石の中央に描かれた図形が、何かの魔術、あるいは呪詛のようなものではないかと感じる。
    このブローチを見た花梨は、これが今度の映画にも登場する『黄色の印』ではないかと気づく。彼女はそれを『黄色の印』と呼ばれるもので映画にも登場するものだというが、詳しいことは映画を見てからのお楽しみだとして教えてはくれない。

    管理人室

    管理人室に行くと奥部美香がいる。彼女はキーロッカーの前に立っていて、館のマスターキーがないのだという。彼女はマスターキーは不在の管理人、荘山が持っているものだと考えており「今日は大事な集まりがあると伝えてあったはずなのに」と頭にきている様子だ。
    部屋の机には事務用のパソコンが置かれている。パソコンはパスワードでロックされているものの、〈目星〉に成功するとディスプレイの下に貼られた付箋を発見できる。付箋には得に意味をなさない英数字の羅列が書かれており、パソコンのパスワードだと気づくことができる。これを入力してパソコンにアクセスすると、業務連絡のメールなどが一昨日の日付のものから未読のままにされていることが分かる。

    倉庫

    倉庫の入り口には鍵がかかっており入ることができない。実はこの倉庫には黃島に殺害された管理人の荘山の死体も隠されている。黃島は死体を見られないよう、探索者が近づくのを静止する。彼は「中には映画の機材など大切なものが入っている」「黒沼部長から誰も近づけるなと言われている」など適当な理由をつけて説得する。





    惨劇のはじまり

    16時になると、黒沼以外のメンバーが試写会が行われるシアタールームの前に集まってくる。シアタールームのドアには「準備中」の張り紙がされたままになっている。金井は「黒沼部長、まだ準備してるのかなあ」などと首をかしげる。しかし呼びかけても黒沼の反応はなく、入り口のドアは鍵が外れている。ドアを開けて部屋の中をのぞいた場合、キーパーは次を参考に部屋の中の様子を描写する。

    扉を開けた途端、目にはぐねぐねと曲がりくねった奇妙な図形が飛び込んできた。
    それは正面のスクリーンに、目がくらむような黄色のペンキで大きく描かれていた。
    その図形はねじれた風車のようにも渦を巻く宇宙のようにも見えた。
    『黄色の印は見つかったか?』
    図形の隣には歪んだ文字で文章が添えられていた。
    さらに視線を床へと落としていくと、そこに黒沼がいた。
    彼は後頭部から血を流し、表情は恐ろしく引きつって、大きく口を開けたまま硬直していた。
    さらに彼の両腕と両足は骨が砕かれて、奇妙な方向に捻じ曲げられていた。
    スクリーンに描かれた、黄色の刻印と同じように。

    黒沼の死体を目撃した探索者は1/1D4+1の正気度ポイントを失う。スクリーンに描かれているのは『黄色の印』で、屋敷の前でブローチを拾った探索者は、ブローチに刻まれていた図形と同じものだと気づくことができる。

    黒沼の死体を発見すると、黃島は突然大きな声で「黄衣の王の呪いだ。僕たちを皆殺しにするつもりなんだ。イヤだ、死にたくない!!」と叫びだし、周りのメンバーを強引に押しのけて館を飛び出していく。金井は「おいバカ、一人で行動するな」といって、飛び出していった黃島を追いかけていく。〈目星〉もしくは〈聞き耳〉のロールに成功した探索者は、黃島のポケットから何かが落ちたことに気づく。それを拾い上げれば、黒い石がはめ込まれたブローチであることが分かる。この石にはスクリーンに描かれていたのと同じ黄色の印が刻まれている。探索者が館の外でブローチを拾っていた場合は、このブローチが館の外で拾ったものと同じであると分かる。

    通信手段

    黒沼殺害のイベントが発生した時点で、全員の携帯電話の電波は圏外になっている。また管理人室に外線につながった固定電話があるが、この段階では電話線が切断されて外と連絡を取ることが出来ない。外部と連絡手段が失われたことに気づいた探索者は0/1の正気度ポイントを失う。

    第二の犠牲者

    探索者が飛び出していった黃島を追いかけるのであれば、金井と共に館の外へ向かうことになるだろう。玄関を出ると、館の外がいつの間にか黄色を帯びた濃い霧に覆われていることに気づく。そして霧の向こうから、黃島の叫び声と何かが崩れ落ちるような音が聞こえてくる。声がした方へと進むと、そこにあったはずの吊橋はなく、吊橋を支えていた支柱のロープが刃物のようなものでズタズタに切断されているのが分かる。そして谷底の様子を確認すれば、頭部から血を流して倒れる黃島と、周囲に散らばる吊橋の残骸が目に入る。黃島はピクリとも動くことはなく、既に死亡しているだろうと容易に想像できる。谷底に落ちて死んでいる黃島を目撃した探索者は0/1D3の正気度ポイントを失う。
    実は谷底に倒れているのは黃島ではなく映画の撮影に使用されたダミーの人形だ。察しのいい探索者であればこれが人形であることに気づいて死体を詳しく見ようとするかもしれない。しかしこの時点では「濃い霧に阻まれてよく見えなかった」など適当な理由を付けて観察を打ち切らせるといいだろう。
    もし探索者が黃島を追いかけない場合は、後から追いかけていった金井が館に戻ってくる。彼は首を横に振って「黃島は死んでたよ、谷底に落ちて。何者かに吊橋が落とされていたんだ」と説明する。そして黃島の死を知った者は0/1D3の正気度ポイントを失う。

    この先の展開

    キーパーはこのあたりでバラバラになっていたメンバーを一旦同流させ、状況を共有するといいだろう。黃島の死を知った花梨は、館の手前で見た黄色の男が犯人と考え「もしかして、橋で見た人が…」と怯えるが、金井は「そう見せかけて、この中の誰かが犯人なのかもしれない」と異を唱える。金井の話を聞いた美香はヒステリックに「殺人鬼かもしれない相手と一緒になんかいられない。私は1人で部屋に戻る!」と言って自分の部屋へ行ってしまう。彼女を落ち着かせようとするなら〈精神分析〉や〈言いくるめ〉、〈説得〉などをロールさせること。成功すれば彼女を落ち着かせてその場に留めることができる。
    この後、探索者は犯人を警戒しながら事件の真相を突き止めるため、様々な行動を取る可能性があり、キーパーはプレイヤーの話をよく聞きながらNPCを操作する必要がある。
    金井や花梨は探索者に協力的であり、言われた通りに行動をするが、一方で犯人の黃島は自分が死んだと見せかけた後、館の周辺に潜んでメンバーを殺害する機会を狙っている。
    もしも探索中にしばらくの間、NPCが1人になるような状況があれば、彼はそのチャンスを逃さない。彼は斧で相手を殺害し、現場に黄色の印が刻印された黒いブローチを残していく。殺害されたNPCを目撃した探索者は、相手が風見花梨であれば1/1D6の、他のサークルメンバーであれば0/1D4の正気度ポイントを失う。



    事件の調査


    映画のあらすじ

    映画研究会のメンバーに尋ねれば、上映予定だった映画の概要を教えてもらうことができる。キーパーは次の情報を探索者に伝えること。

    <幻黄館の殺人>
    映画研究会の昨年の自主制作で、黄色いローブに身を包んだ『黄衣の王』という不死の怪人が登場するホラー映画。『黄色の印』が描かれた黒いオニキスのブローチを拾った登場人物が1人また1人と『黄衣の王』に殺されていくという流れ。
    『黄色の印』は幻黄館の殺人の中で『黄衣の王』に関連するとされているブローチに刻まれた図形で、これを見つけてしまった人間は次に『黄衣の王』に狙われるとされている。
    この脚本は瀬良玲奈が『黄衣の王』という名の物語から着想を得て制作したものだ。この物語は読んだ者に悲惨な運命が訪れるとも言われており、瀬良玲奈の死は呪いによるものではないかと噂されるようになったのだ。

    シアタールーム

    黒沼の遺体の後頭部には斧のようなもので殴られた深い傷がある。またシアタールームのスクリーンの手前にはプロジェクターが設置され、ノート型のパソコンに接続されているのだが、これらも黒沼の遺体と同様に斧で叩き割られ破壊されている。
    黒沼の遺体を調べるのであれば、ポケットから1枚のSDカードを発見することができる。また〈医学〉ロールに成功すると、彼は死後1時間以内で殺害されてからさほど時間が経過していないことなどが分かる。

    <殺害時のアリバイ>
    黒沼が殺害されたと思われる時間、1人でいた奥部美香や金井英治にはアリバイはない。風見花梨については、犯行時刻に探索者と一緒に行動していたかどうかに依存する。丁度そのころ一緒に館の外を調査していたのなら、彼女にはアリバイがあったことになる。

    SDカード

    黒沼の遺体から見つかったSDカードには『幻黄館の殺人』と書かれたラベルが貼られている。これには映画研究会の自主制作映画『幻黄館の殺人』の動画データが入っている。
    データの中身を確認するためには再生するための機器が必要だが、シアタールームにあるパソコンは破壊されていて使うことはできない。このパソコンを修理するには〈機械修理〉や〈電気修理〉などのロールに成功する必要がある。またデータを再生するには、管理人室にある事務用のパソコンを使用することもできるだろう。その他、探索者の所持品にデータを再生するために適したものがあれば、それらを使用してもいい。

    <映像データ>
    映像を再生すると、恐ろしげなBGMと共に『幻黄館の殺人』とタイトルが表示されて、映画が始まる。サークルの合宿のため幻黄館に集まったメンバーが映し出される。出演は主に映画研究会のメンバーたちだ。
    最初のうちは平和な日常シーンが展開されていくが、やがて黃島の扮する男子学生が、階段の踊り場に落ちている何かを発見する。

    「このブローチ……黄色い、模様なのか?」
    ブローチには黒い宝石がはめ込まれており、黄色の歪んだ刻印が刻まれている。
    突如、背後でかすかな物音がする。BGMが緊迫感を演出する。
    黃島が振り向けばすぐ背後に、全身を覆う黄色いローブに身に包んだ男が立っている。
    男は手にした斧を黃島の顔面をめがけて力いっぱいに振り下ろす。
    「う、うわあああああ!!」
    何かが潰れるような音。倒れた彼はそのまま階段を転げ落ちていく。
    流れ出た血が床を赤く染めていく。

    その後も『黄色の印』が刻まれたブローチを拾った登場人物が、黄衣の王と呼ばれる怪人に次々に殺害されていく。クライマックスでは美香の演じるヒロインが、怪人の呪いがある書物によるものであることを突き止め、その書物を炎にくべることで怪人を倒し、生還を果たしている。

    この映画の殺人シーンや危険なシーンでは、精巧に作られたダミーの人形が使われている。これは一見本物と見間違うほどの出来だが、〈目星〉ロールに成功すれば人形であると気づくことができる。映画研究会のメンバーと一緒に映像を見た場合は、ここで使われていたのがダミーの人形なのだと解説してくれる。映画研究会のメンバーであれば、これらの映画に使われた衣装や道具などはまだこの館の倉庫に保管されていることを知っている。
    またクライマックスに登場した書物は『黄衣の王』と題された戯曲の書で、オカルトに詳しい者たちの間では、読んだ者に恐ろしい悲劇が降りかかる呪われた書物として知られている。脚本家であった瀬良玲奈はこの話に因んで今回の脚本を書きあげたのだ。これらの話は映画の制作に関わった金井や奥部に尋ねることで教えてもらうことができる。

    倉庫

    入り口には鍵がかかっている。倉庫にはここには殺害された管理人の死体が隠されている。探索者が扉を開けたなら、途端に今まで嗅いだことのないような異様な臭いが鼻をつく。さらに何匹ものハエが、耳障りな羽音を響かせながら飛んでいる。そして倉庫の奥には管理人の死体が、黒沼と同様、手足の骨を粉々に砕かれて、異様な方向に捻じ曲げられて横たえられている。この様を目撃した探索者は0/1D4の正気度ポイントを失う。
    この倉庫には死体の他に、撮影に使用した道具や衣装などがいくらか保管されているが、黃島によって持ち出されたダミーの人形や黄衣の王の衣装は失われていることが分かる。

    奥部の部屋

    奥部美香を説得できなかった場合、彼女は部屋に閉じこもって内側から鍵を掛けてしまう。彼女はすぐに殺されることはないが、犯人の捜索を開始してプレイ時間30分が経過した段階で探索者が犯人の正体を突き止めていなかった場合、彼女は次の犠牲者となる。
    彼女は部屋に閉じこもり「来ないで!そういって私を殺すつもりなのでしょう」との一点張りだ。彼女を再度説得するには〈説得〉ロールに成功する必要がある。成功すれば彼女は説得に応じて部屋を出てくるが、彼女の説得に失敗した場合は追い返されてしまう。
    プレイ時間で30分が経過すると、黃島は美香の部屋へ行く。彼は「自分は生きている。探索者たちが犯人だ」と彼女に吹き込むことで部屋に入れてもらうことに成功し、隙きをみて隠していた斧で彼女を殺害するのだ。
    この後、探索者が彼女の部屋を訪れると入り口のドアが半開きになっていることに気づく。この時点で彼女は殺害されており、部屋の中には惨殺された彼女の死体が転がっている。
    彼女の死体は両足を床に投げ出して、壁にもたれかかっている。首や肩などが斧で深く切りつけられており、部屋じゅうが吹き出した血で真っ赤に染まっている。そして彼女のだらりと垂れた右手のには黄色の印が刻まれた、黒いブローチが握りしめられている。この光景を目撃した探索者は0/1D4の正気度ポイントを失う。

    黃島の部屋

    彼の荷物を調べると、かばんの奥に大切そうに入っている、黄色で装丁された薄い本を発見する。黄色の本は日本語に翻訳された『黄衣の王』の第一章までが記されたもので、表紙にはタイトルと『黄色の印』が描かれている。
    本の表紙に描かれた黄色の印は本を読むまでは効果を発揮しないが、興味本位で本を開いてしまった探索者はPOWロールを行う必要がある。このロールに成功した探索者は『それ以上読んではいけない』と本能が強く警戒するのを感じ、ページを開くのをためらう事ができるが、ロールに失敗してしまった者は強い好奇心に駆られて本の内容を全て読んでしまうことになるだろう。
    この本には青ざめた仮面の王と霧に包まれた街、あるいはハスターとカルコサにまつわる曖昧で陰鬱で詩的で芸術的な物語が記されている。この本を読むには1時間の時間を要し、探索者は1D10の正気度ポイントを失い、1%の〈クトゥルフ神話〉技能を獲得する。ここで狂気に陥った探索者はこれらの情景や黄衣の王に執着するようになる。

    黃島の死体

    崖の下にある黃島の死体は、彼によってすり替えられたダミーの人形だ。もし探索者が再度彼の死体を確認する場合、〈目星〉や〈医学〉または芸術に関するロールに成功すると、それがダミーの人形であることに気づくことができる。





    真相

    犯人が黃島であることを突き止めた場合、キーパーはタイミングを見計らって次のイベントを発生させる。黃島が犯人であると推理した後、探索者が橋の下の死体を確認するか、彼の部屋にある『黄衣の王』を発見した直後あたりが適当だろう。
    探索者の背後から、唐突に手を叩く音が聞こえてくる。「いやあ、気づかれちゃったか」という声に振り向くと、そこには黄衣の王の衣装に身を包んだ人物が立っている。仮面で素顔を隠しているが、その声は黃島佑樹のものだ。彼がゆっくりと仮面を外すと、その下に隠されていた歪んだ笑顔があらわになる。

    『どうだった?僕の演出は。すばらしいだろう。きっと黄衣の王も喜んでくれるだろう。
     僕は許せなかったんだ。映画の中とはいえ、王を貶めたアイツらを。
     王への侮辱は許されない。だから罰を与えることにしたんだ。
     さあ、お前たちも知れ。そしてその命で王への無礼を詫びるんだ!』

    黃島はそう言うと呪文を唱えはじめる。彼の体はみるみるうちに膨張し、ブヨブヨとした醜い肉の塊へと変わっていく。皮膚は鱗のようなものに覆われて、手足はぐにゃぐにゃとした軟体動物のように変異する。その悍ましい肉塊を、黄色の布が渦を巻きながらぐるぐると包み込んでいく。それこそは王に命を捧げた者の末路であり、変わり果てた黃島の姿を目撃した者は、1D3/1D10の正気度ポイントを失う。
    黄衣に包まれた怪物、王の信仰者の成れの果て
    黃島佑樹が変異した姿。ブヨブヨと膨張した肉塊を黄色い布が包み込み、布の隙間から見える皮膚には悍ましい鱗が覆っている。巨体ゆえに動きは遅い。正気は完全に失われているが知性は残されており、延々と膨張しながら王への供物を探し続ける。

    STR 100 CON 85 SIZ 75〜150 INT 15 POW 14 DEX 7
    
耐久力 25
    
DB:+1D6〜2D6 ビルド:2〜3 MP:9 移動:6
    武器:押しつぶし 25%、ダメージ1D6〜2D6
    
この怪物は膨張を続け、1ラウンド経過する毎にSIZの値が25ポイントずつ増加する。怪物はこの膨張する肉塊を触肢のように伸ばして探索者を押しつぶそうとする。ダメージは怪物の大きさに依存しており、SIZが104以下では1D6だが105以上では2D6になる。
    装甲:なし
    
正気度喪失:怪物を見て失う正気度ポイントは1D3/1D10。


    呪われた書を燃やす

    怪物と化した黃島を撃退する鍵は、映画のクライマックスにも登場した戯曲『黄衣の王』の書物だ。黃島の部屋で探索者がこれを手に入れていた場合、この書物を火に焚べることで怪物を退散させることができる。
    書物に火を付ける方法は何でもいい。探索者がマッチやライターなど、火を付けるために適切な道具を持っていたのであれば、それらを活用することができる。探索者がそうした道具を持っていない場合、キッチンのコンロや食堂の暖炉の炎の中に投げ入れてもいい。
    キッチンや食堂へ移動するには通常で1D3ラウンドの時間がかかるが、DEXロールに成功した探索者は必要なラウンド数を半分(端数切り上げ)に短縮することができる。そして『黄衣の王』の書を火に焚べた場合、『黄衣の王』は次のラウンドの終了時までに焼失する。探索者はそれまでの間、黃島からの追撃をかわす必要がある。
    『黄衣の王』の書が燃えはじめると、黃島を包む黄色の布にも炎が燃え広がっていく。彼は叫び声を上げながら探索者に尚も襲いかかろうとするが、書が完全に燃え尽きると同時に力尽きる。やがて炎は館へも燃え移り、幻黄館をも呑み込んでいく。
    探索者はDEXもしくは〈回避〉のロールに成功しなければ、燃え広がる炎に呑まれて1D6のダメージを受ける。ただしロールに失敗しても、他の探索者がSTRロールに成功すれば、手をつかんで一緒に逃げることができる。

    崖から突き落とす

    屋外で黃島との戦闘に突入した場合、少々強引ではあるものの、崖下に突き落とすことでこの怪物を撃退することもできる。そのためにはまず〈回避〉もしくは〈言いくるめ〉などのロールに成功して、この怪物をうまく崖の手前までおびき寄せなくてはならない。その後、STRの抵抗ロールに探索者の側が勝利すれば、この怪物を崖から突き落とすことができる。この抵抗ロールには探索者と生き残っているNPC全員が協力して参加することができ、参加者のSTRの合計値と怪物のSTRを競わせる。
    探索者の側が勝利すると、バランスを崩した怪物は崖へと落下していく。しかしここで黃島は最後の足掻きに探索者を道連れにしようと触手を伸ばして探索者をつかもうとしてくる。探索者はDEXもしくは〈回避〉のロールに成功しなければ、触手につかみ取られて怪物と共に谷底へと落下していくことになる。ただしロールに失敗しても、他の探索者がSTRロールに成功すれば、手をつかんで落下を食い止めることができる。

    結末

    最終的に黃島を撃退することができたならシナリオはクリアとなる。館を覆っていた深い霧はいつの間にか晴れており、日の光が差してくる。こうして探索者は狂気の惨劇から開放されたことを実感することができるだろう。生還した探索者は1D10の正気度ポイントを獲得する。さらに生き延びたNPC1人につき1D3正気度ポイントを回復する。

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