君は何を祈り、

そして僕達は何を願うのか?

クトゥルフ神話TRPGオリジナルシナリオ

G県、上白沢村。人口数千人の小さな村。

探索者たちはそこで生まれ、育ち、大切な仲間に出会う……

本シナリオについて

本シナリオはプレイヤー間やNPCとの対話、RPを重視したシナリオになります。キーパーはゆっくりとしたペースで、RPに時間をかけながら進めると良いでしょう。このシナリオでは、シーンの切り替わりにおいて複数の時間経過があり、探索者は幼少期から始まり、中学時代、そして大人へと成長していきます。各時代におけるイベントは必要事項と概要のみを記載しておりますので、キーパーの裁量で、間延びしない程度に自由に拡張して頂いて結構です。

シナリオの背景

G県上白沢村。人口数千人の小さな村。そこでは古くから「無夜様」と呼ばれる神様が信仰されていました。「無夜様」は、神社の裏にある聖域、樹齢数百年の木々が立ち並ぶ”精霊の森”の奥、光に閉ざされた地に祀られ「善悪を問わず、どんな願いでも叶えてくれる」と伝えられていたのです。そんな村で、探索者たちは生まれ育ちます。そして小学4年生になった頃、鳥待志保という同年代の女の子と仲良くなります。彼女は生まれつき足が不自由で、高校に上がる頃、彼女だけが探索者たちと別の学校へと進むことになります。最後の思い出に、そして願い事をするために、探索者と志保は”精霊の森”へと足を踏み入れます。しかしその時、村の中心部に巨大な隕石が落下します。この隕石の落下は探索者たちの行動とは無関係の、偶然であり必然であり不可避の天災です。全てが薙ぎ払われ、焼かれ、失われていく破滅の中で、志保は「無夜様」に探索者たちの無事を祈り、そして探索者は一命を取り留めます。村の唯一の、生き残りとして。大きな破滅を体験し、無夜様と対面し、すべてを失い心に大きな傷を負った探索者たちは療養施設へと運ばれて、徐々に自分を取り戻していきます。そして真実を求め、再びあの地へと足を踏み入れることになるのです。

探索者の作成について

  • 探索者は同年齢の幼馴染という設定で作成ください。
  • 本シナリオでは、探索者は幼少期から始まり、中学生時代、そして大人へと成長していきます。このため探索者は新規作成を推奨します。探索者の年齢はセッション中、10歳から始まり22歳まで成長します。ただし、能力値、技能などは簡単のため年代によらず同一とします。
  • 職業はルールブックから自由に選択ください。推奨技能:《目星》《聞き耳》

主なNPC

鳥待 志保

年齢:10-15歳 職業:学生

STR 8  CON 12  SIZ 10  INT 12  POW 10  DEX 3  APP 12  EDU 14

正気度 50  耐久力 11

技能:目星50%、聞き耳65%、操縦:車椅子30%、金魚すくい60%

上白沢村に暮らす足の不自由な少女。小学4年の春に探索者たちに出会い、以後、探索者たちと友人となる。なぜか金魚すくいが得意。そして15歳の夏。上白沢神社の祭りの日に、村に落下した隕石により命を落とす。

須藤 正則

年齢:53-60  職業:精神科医

STR 11  CON 13  SIZ 12  INT 17  POW 15  DEX 9  APP 11  EDU 18

正気度 75  耐久力13

技能:医学60%、精神分析80%、薬学60%、信用60%、心理学75%、目星55%

隕石落下の後、探索者たちが入院した北里療養施設の医院長。

自身も隕石落下により妻と娘を失い、「精霊の森」で発見された探索者たちが

生き残った理由を知ろうとしていた。しかし、7年の月日に彼は疲弊していく…。

導入:幼少期

志保との出会い

物語は探索者たちがまだ小さな子どもの頃から始まります。探索者が10歳、小学4年生に上がったばかりのこと。昼休みに皆で一緒に廊下を歩いていると、廊下の先から「邪魔なんだよ!くそ!」といった怒鳴り声が聞こえます。見ると、女の子が上級生に絡まれ、尻もちをついた状態で怯えています。近くには彼女のものらしい車椅子が倒れています。彼女は鳥待志保といい、探索者たちの同級生です。車椅子に乗った彼女は上級生にぶつかってしまい、それで怒りを買ってしまったのでした。探索者たちには彼女が今年から同じクラスになった鳥待志保で、足が不自由だという事を知っています。上級生が去った後、彼女は必死に車椅子を起こそうとしています。

探索者たちが彼女を助けると、彼女は感謝を述べます。以後、探索者は彼女と仲良くなって行きます。

「無夜様」についての言い伝え

小学6年生の夏。あれ以来、志保と親しくなった探索者たちは彼女の家でスイカを食べながら、彼女の祖母からこの村に祀られる「無夜様」についての話を聞きます。それはこの村の子供なら何度も聞いてきた話でした。

村の神社の奥には、誰にも入ることが許されない聖域、「精霊の森」があり、樹齢数百年を超える木々によって闇に閉ざされたその先に、「無夜様」の御神体が祀られている。志保の祖母は言う。

​

「無夜様はな、どんな願いでも叶えてくれる偉い神様じゃ。

 例えそれがどんなに正しい願いでも、どんなに悪い願いでも…。

 だがどんな善人でも、人間というのは心の奥に悪いものを持っているものなんだ。

 だから今は誰も、あそこに入ってはいけないということになっておるんじゃ」

​

「暗い所にいて、無夜様は怖くないの?」志保がそんなことを聞いた。

志保の祖母は笑いながら答えた。「それはな、無夜様は明るい所が苦手なんじゃよ」

中学生時代

祭りの日に

中学3年。季節は夏の終わり。来年は高校に進学することになる探索者たちですが、障害を持つ志保は村を離れ、探索者たちが行くのとは別の学校に進むことになっていました。そこで思い出作りをと、探索者たちと志保は村の祭りに一緒に出かけます。上白沢神社には祭り囃子が鳴り響き、鳥居をくぐった先の境内には決して多くはないですが、いくらかの出店が並んでいます。「よ!ねーちゃん金魚すくいどうだい?」客引きの声に誘われながら、探索者たちは楽しい一時を過ごします。

​

そしてしばらく時間が経過したところで、探索者は《目星》ロールを行います。成功した場合、志保がうつむき、震えていているのに気づきます。探索者が声をかければ、彼女は耐えられなくなり、彼女は皆といられる今までが本当に、楽しかったということ。そしてまた、村を離れ、皆とはなればなれになることが辛いと打ち明けます。

探索者たちが祭りを楽しみ、いくらかの時間が立った頃、シーンを切り替えます。

・・・その後の記憶は曖昧だった。

ただ、あなたたちはどこか暗い場所にいて、周りには仲間がいて、志保がいる。目の前には、石で出来た祭壇の上に黒く輝く多面体の結晶が祀られている。体は硬直し、声が出ない。

そして、そこで”何か”を見た。

強い、悪臭を感じた。

わずかな光すら届かない闇の中から浮かび上がったのは、黒い3本の足と鉤爪のついた手のような器官を持つ巨大な人影。顔のあるべき場所には赤い血の色をした長い触手がうねり、その姿は不定形の、原初の宇宙の真闇から出て這い寄る混沌───

探索者たちの意識は、深く、暗い闇の中へと飲み込まれていく……

SANチェックです。減少値は1D10/1D100です。

探索者は喪失したSANの数値に関わらず、混沌の淵へと、意識を失っていきます。

特殊ルール:狂気の傷痕

ここで探索者はSANチェックの成否によらず、長期の一時的狂気(クトゥルフ神話TRPG P90)の中からランダムで、失った正気度に応じた数の精神障害を永続的に負います(ダイスで振って下さい。重複した場合は振り直し)。この効果はセッション中に精神分析や病院での治療により正気度を回復しても継続します。これらの狂気は常時は働きませんが、恐怖症の対象に遭遇したり、夢や連想、フラッシュバック、SANチェックに失敗する等の極度の緊張状態に陥るとその都度再発します(精神分析で一時的に症状を抑えることは可能です)。

​

10未満:長期の一時的狂気からランダムで1つ

10以上:長期の一時的狂気からランダムで2つ

正気度を全て失った:長期の一時的狂気からランダムで3つ

​

※また、ここで正気度が0になった探索者も、以降のシーンで回復することが可能です。これは、『クトゥルフ神話TRPG 基本ルールブック』P.91「永久的狂気」の『”永久的”とは、1年の場合もあり、一生涯の場合もある。現実の統計では、精神療養所に入っている期間は平均して4年と数ヶ月である』によります。

次のシーンは探索者が見る夢です。探索者たちは気がつくと神社にいて、志保もそこに一緒にいます。祭り囃子が聞こえ、人々が賑やかに行き交う。そしてそこでは、何の憂いもない、優しい時間が流れていくのです。

上白沢神社には祭り囃子が鳴り響き、鳥居をくぐった先の境内には決して多くはないものの、いくらかの出店が並んでいる。探索者の手をとり、早く行こうと志保がはしゃぐ・・・平和で、穏やかな時間が過ぎていく。

そして、しばらくのRP、探索者と志保の間でやり取りがあった後、探索者たちは目を覚まします。

青年時代

北里療養施設:目覚め

探索者たちは、白い病室のベッドの上で目を覚まします。他の探索者も同じ部屋にいますが、志保の姿はありません。山奥のサナトリウム──あの日。探索者たちはこの療養施設に運ばれました。その後、ようやく僅かな正気を取り戻すまでに2年を要し、さらにそこから現在に至るまで3年の月日が流れ、探索者たちは20歳になっていました。家族友人は皆諦めてしまったのか、ここを訪ねてくる者は誰一人としてなく、探索者たちは精神に深い傷を負いながらも互いに支え合い、これまでを必死に生きてきました。志保の行方は、あれ以来分かっていません…。

<背景>

あの祭りの日。探索者たちは禁忌とされていた聖域「精霊の森」の奥に足を踏み入れます。「無夜様」へ、これからも一緒にいられるようにとお願いをするためでした。しかし探索者たちが森の奥深くの祭壇で御神体である黒く輝く結晶を発見した時、上空から燃え盛る巨大な隕石が落ちてきます。大きな衝撃と爆風の中、志保は「無夜様」に祈ります。そして、志保の願いにより探索者たちは一命をとりとめますが、上白沢村は壊滅して志保も命を落とします。探索者たちを見舞いに来る者がいないのも、志保がいないのもそのためでした。こうして探索者たちは、村の唯一の生き残りとして上白沢の隣町にある北里療養施設に運ばれます。それから5年。医院長の須藤は、探索者たちはまだそれを受け入れられる精神状態にないとしてその事実を秘密のままにしており、探索者は未だ村で起きたことの真実を知りません。須藤は、自分の妻と娘をこの災害で失っており、なんとしても探索者たちだけが無事だった理由を知りたいと考え、焦る気持ちを抑えながら慎重に事を運んでいます。しかし、探索者たちと接するうち、そして時が経つうちに、彼の心の中には『それを知って自分はどうするのか?彼らをこれ以上苦しめてよいのか?』という葛藤が浮かんでくるのです。

ここで一旦、次の処理を行います。

・耐久力を最大値まで回復

・失った正気度を1/4まで回復(正気度0の探索者は元の正気度の1/4まで回復します)

・ただし「狂気の傷痕」の効果は消えません

目を覚ました探索者は現在の正気度を目標に、1D100で判定を行います。失敗した場合「狂気の傷痕」の効果が一時的に発現します。効果は数分間継続します。落ち着きを取り戻した後、探索者たちの部屋に食事が運ばれてきます。

サナトリウムでの日々

朝食を食べたら屋外で軽いウォーキングなどの運動、その後回診が終われば昼食、午後からは勉強。夜は夕食の後、21時には就寝。それが探索者たちの1日になっています。

​

●屋外:ウォーキング

サナトリウムの白い建物の周囲は白く高い壁に囲われ、その上方からかすかに近辺の山々を見ることが出来ます。見覚えのある頂きの形から、探索者たちにはそれらの向こう側に自分たちが生まれ育った村があることが分かります。

​

●病室:回診

回診の時間になると、医院長の須藤が探索者たちの病室を訪れます。彼は「調子はどうだね?」と各探索者に問いかけます。その後は世間話、処方する薬の量の話程度の、いつもと変わらぬ話をすると、病室を出て行きます。

​

<須藤の対応>

須藤は探索者たちにはまだ受け入れる準備が出来ていないと考えており、村のことは秘密にしています。《心理学》に成功すれば、須藤が何か隠し事をしていることは分かりますが、何を問われても「今は治療に専念するように」とだけ伝え、病室を後にします。

​

回診の後は、次のシーンへと進みます。

あの日の選択

探索者たちは再び夢を見ています。あの祭りの日のあの神社。『精霊の森』の入り口で。志保はためらいながら、ずっと抱えていた考えを探索者たちに口にします。それは「無夜様に、お願いがしたい。ずっと一緒でいられるように」というものでした。彼女はそれを言ってしまった事を後悔するように、皆の顔色を伺いながら今のはなしだと訂正しますが、ここでどうするかは探索者たちの選択次第です。どうするかが決まったところで、探索者たちは目を覚まします。

(ここでの選択によって、終盤のパートがAルートBルートに分岐します)

あれから2年後。探索者たちは22歳になっています。ここで次の処理を行います。

・耐久力を最大値まで回復

・失った正気度を1/2まで回復(正気度0の探索者は元の正気度の1/2まで回復します)

・ただし「狂気の傷痕」の効果は消えません

この日、探索者たちは医院長室に呼ばれていました。医院長室のソファーに座る探索者たちに、医院長の須藤がゆっくりと優しく語りかけます。「君たちには来月、退院してもらおうと思っている。今まで、本当によくがんばったね」と。そして彼は探索者たちがこの後それぞれの職に就き、そして自分たちの人生を歩んでいくであろうことを祝福しますが、それを話し終えた彼の顔は何かを思い詰めたようなものになっていました。そして彼は、その前に探索者たちに話しておかなければならないことがあるということを伝えます。彼はテーブルの上に1冊のファイルを取り出し、探索者に見るよう促します。そこには新聞の切り抜きが閉じられていました。その日付は7年前、あの祭りの日のものでした。

○月○日 号外

『上白沢村に、巨大隕石が落下』

本日正午、G県上白沢村に巨大な隕石が落下した。

現在懸命な捜索活動が行われているが、落下地点から半径15km圏内は

壊滅的な被害を受けており、住人の生存は絶望的とみられる。

​

○月○日

『生存者を発見』

昨日、上白沢村での隕石落下事故に関し、生存者が発見された。

生存者の名前は(探索者たちの名前が並べられている)。

生存者は現在病院に運ばれ治療を受けているが、いずれも軽症であり命に別状はないとのこと。

​

以降にはさらに、死亡が確認された者の名前が一覧で記されています。

記事を見た探索者には《目星》ロールを行わせて下さい。成功した探索者はその中に、自分の家族、そして志保の名を見つけることが出来ます。生まれた村の喪失。家族、そして大切な友人の死に大きなショックを受け、探索者はSANチェックを行います。減少値は1/1D6です。SANチェックに失敗した探索者は「狂気の傷痕」の効果が発現して発狂します。発作はしばらくすると一旦落ち着き、医院長はそんな探索者たちにこの事実を秘密にしていたことを謝罪しながら「辛いかもしれないが、これは君たちが向き合わなければならない事実だ。だが、私は君たちにならきっと出来ると思っている」と告げ、うっすらと涙を浮かべながら、今後の探索者たちが苦難の道のりを乗り越えられることを祈っていると伝えます。

​

ここでさらにもう一度、探索者に《目星》ロールを行わせて下さい。この判定に成功すると、死亡者の一覧の中に「須藤 美佐」「須藤 あやか」の名を見つけることが出来ます。彼女たちは須藤の妻と娘であり、須藤はこの災害で家族を失っていることを探索者に伝えます。

退院の日

1ヶ月後。探索者はその日を迎えます。探索者たちは医院長やサポートしてくれたスタッフたちから花束と祝福の言葉を受け取りながら施設を後にします。大きな柵の扉が開き、7年ぶりに外の世界へ足を踏み出した探索者に、医院長は言います。

「実は私にはまだ1つ、君たちに伝えなければ、そして問わなければならないことが残っているんだ。私はこれを言うべきか、ずっと迷い続けてきた。これは君たちの今後の人生に大きな影響を与えることになるのかもしれない。何も言わない方が、君たちにとってはいいのかもしれない。だからこの話を聞くか、君たちに決めてもらいたい」

彼はそうして瞼を閉じると、探索者たちの答えを待ちます。もし、ここで探索者たちがそれを知ることを拒むなら、探索者はそのまま自分の人生を歩んでいくことになり、物語はノーマルエンディングを迎えます。そして、知ることを望む場合、医院長は次の事を探索者に語ります。

「君たちはあの村で『精霊の森』と呼ばれていた場所の奥で発見された。発見された時、君たちの傍らにはもう1人いた。そして、彼女は既に死んでいた。隕石落下の衝撃波によるものだろう」

「しかし私には、どうしても不思議だったんだ。どうして君たちだけが無事で、彼女だけが死んでいたのか。どうして君たちはあの場所であのような、精神が弱りきった状態で見つかったのか。私も、あの場所については知っている。だから、知りたかったのだ。どうしてあの日、あの災害が起きたのか。どうして、妻と娘は死んだのか」

​

「君たちが、或いは彼女が何を願ったのか」

​

「もし君たちが全てを取り戻したいと思うなら、君たちはもう一度、あの場所に行ってみるべきだと思っている」

「すまない、私は少し疲れた。君たちがこれから歩む人生が、幸せなものであることを祈っている」

彼はそう言うと、探索者たちだけを扉の外に残してサナトリウムの中へ帰っていきます。

あの場所へ、再び

7年ぶりに帰ってきた上白沢村は変わり果て、中央に大きなクレーターが口を開けています。いくらかの倒れた建物の残骸には雑草や蔦が巻き付き、その風景は当時の面影を残しながらも、そこにあった穏やかな日々は過去のもので、”すべてが終わった”のだという現実だけを探索者に突きつけます。その光景を目の当たりにした探索者はSANチェックを行います。減少値は0/1D3です。またSANチェックに失敗した探索者は「狂気の傷痕」の効果が発現します。

​

そして、探索者たちはかつての平和な日々を想いながら精霊の森を目指します。その場所は7年前の隕石の衝撃で木々は薙ぎ払われ、えぐれた地面、倒れた枯れ木のみが残っています。しかし、その地に足を踏み入れようとした瞬間、探索者は古く高い木々に囲まれた場所に立っていることに気が付きます。遠くからはあの日の祭り囃子の音が微かに聞こえます。探索者たちの目の前の現実に、あの日の幻影が重なります。

​

ここからはあの日の、祭りの後の選択によって2つのルートに別れます。

Aルート:志保と共に、森へ入った

立ちすくむ探索者たちの横を、かつての、中学生だったころの探索者と志保たちの幻が通り過ぎていきます。本当にいいの?と心配をする志保をなだめ、森の中は足元が不安定であるため、彼らは志保を抱き起こしまたは背負って、楽しげに、談笑しながら森の奥へと向かっていきます。

​

●石の祭壇

彼らの後を追いかけて奥へと進むと、やがて探索者はナラの木に囲まれた円形の空き地にたどり着きます。そこには2.4mほどの石を荒く削ったモノリスが1つ立っており、その前には石で出来た祭壇があります。祭壇の上には、黄色っぽい金属製の蓋の開いた奇妙な箱が置かれています。そして、その中にあったのは多数の微細な不正系の表面から構成され、赤い条線を持つ多面体であり、その表面は黒く輝いています。

​

●破滅の音

探索者たちが森の奥までやってきたところで、上空からゴゴゴゴゴゴ…と大きな風が唸るような音を聞きます。見上げた先には今まさに、赤く燃え盛る隕石が、上白沢村へと落ちてくるところでした。過去の探索者たち、そして志保もそれに気づいた様子で、しかし何が起きているのか分からず呆然としています。ここで探索者が自分たちの過去に干渉する行為は全て無駄であることに注意をしてください。彼らに干渉することは元より、「無夜様」に願いをかけることも出来ません。やがて隕石は落下して、衝撃が全てをなぎ払い、炎が村を飲み込んでいきます。爆風に吹き飛ばされる過去の自分たち、とてつもない衝撃がそこにいる過去の探索者たちを襲い、投げ出された志保が石の祭壇に叩きつけられます。

Bルート:森へ入るのを思い留まった

探索者たちは森の入り口にいて、そこには過去の自分たちの幻が見えます。「無夜様」に願い事をすることを止め、そろそろ帰ろうという探索者たちの姿です。その時。志保が空を指を差します。暗くなった空には星がまたたき、その中をいくつかの流れ星、流星群が横切っていきます。探索者は星に願うように手をあわせるかもしれません、しかしそこで志保はあることに気づき「あれは何?」と言います。

​

●流星

ゴゴゴゴ…と大気が唸るような音がして、空気が振動するのを感じます。流れ星の中の1つが、みるみる大きくなってきます。そしてそれは、自分たちのいる村へと近づいて来る。過去の探索者たちは慌て、志保を抱えて森の奥へと逃げ込もうとします。

​

●石の祭壇

彼らを追いかけて森の奥へと進むと、やがて探索者はナラの木に囲まれた円形の空き地にたどり着きます。そこには2.4mほどの石を荒く削ったモノリスが1つ立っており、その前には石で出来た祭壇があります。祭壇の上には、黄色っぽい金属製の蓋の開いた奇妙な箱が置かれています。そして、その中にあったのは多数の微細な不正系の表面から構成され、赤い条線を持つ多面体であり、その表面は黒く輝いています。そして、過去の探索者たちがそこにたどり着いたところで、大きな音と振動を感じます。ここで探索者が自分たちの過去に干渉する行為は全て無駄であることに注意をしてください。彼らに干渉することは元より、「無夜様」に願いをかけることも出来ません。村に落下した隕石は、そこにあった全てをなぎ払い、炎が村を飲み込んでいきます。爆風に吹き飛ばされる過去の自分たち、とてつもない衝撃がそこにいる過去の探索者たちを襲い、投げ出された志保が石の祭壇に叩きつけられます。

エンディング:運命の刻、彼女は何を祈ったのか?

祭壇に叩きつけられた志保の口が、微かに動きます。ここで探索者は《聞き耳》ロールを行うことが可能です。

そしてこの判定に成功すれば、消えていく意識の中で、志保が最後に願った言葉を聞きます。

みんなをたすけて』

それは、大切な友人の無事を、願うものでした。

エンディング:そして僕たちは何を願うのか?

探索者たちが気がつくと、そこには何もない漆黒の空間、原初の宇宙が広がっています。過去の自分たちや志保の姿はありません。そして、探索者たちの前には漆黒の結晶体が宙に浮いています。

この先の展開は、本シナリオでは敢えて規程しません。

​

探索者がそれに何を願うか、願わないのか。

​

それにより何が起きるのか、探索者たちが何を取り戻し、何を手に入れ、何を失うのか。

​

ここから先は全て、本編のキーパーおよびプレイヤーに委ねたいと思います。

​

ただし、これはクトゥルフ神話TRPGであることをお忘れなきよう、その旨プレイヤーにもお伝えてください・・・。

クリア報酬

  • シナリオクリア:+1D6
  • トゥルーエンディング達成:上記に加え+2D10
  • そのほか、卓中に得たものに応じて適宜

​

 ※ 尚、トゥルーエンディングの達成条件はその卓の参加者に委ねます。

【参考文献】

[1]『クトゥルフ神話TRPG』、著:サンディ・ピーターセン/リン・ウィリス他、訳:中山てい子/坂本雅之(2004)

・「ニャルラトテップ」P.221-222、「無夜様」の設定にあたり、神話生物の設定・容姿・描写を参考にした。

・その他、シナリオ作成にあたり必要な基本ルールは本書を参考にした。

​

[2]『マレウス・モンストロルム』、著:スコット・アニオロフスキーほか、訳:坂本雅之、立花圭一(2008)

・「輝くトラペゾヘドロン」P.225、「無夜様」の御神体の設定にあたり、設定・描写の参考とした。

・「血塗られた舌」P.213-214、「無夜様」の設定にあたり、神話生物の容姿・描写を参考にした。

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