ヒトリカクレンボ

シナリオ概要

一人暮らしを始める探索者が引っ越し先であるワンルームマンションの部屋の隅で見つけたのは、不気味なボロボロのぬいぐるみだった…。

推奨人数:1人
想定プレイ時間:30分(オンラインのテキストセッションの場合は1.5時間)



シナリオの時代設定は現代の日本。1人暮らしを始め、新しいマンションに引っ越してきた探索者が奇妙なぬいぐるみを発見する。このぬいぐるみには、部屋の前の住人が「ひとりかくれんぼ」によって呼び出してしまった、ニョグタの欠片が封じ込まれていて、夜になると本性を現し、探索者に襲いかかる。こうして探索者は、呪われたぬいぐるみとの命をかけたかくれんぼに巻き込まれていく。探索者の職業は何でもよい。非常に短いシナリオであるため技能を使うチャンスは少ないが、〈目星〉があれば役に立つことがあるだろう。


本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


※注意:以下にはシナリオのネタバレが含まれます。























導入

この日、一人暮らしを始める探索者は新しい住居に越してくる。そこは閑静な住宅街にあるワンルームのマンションで、築20年とやや古いものの、広い間取りと破格の家賃が決め手となった。新しく購入したベッドや家電製品、調理器具などを運び入れる。机だけは前の住人が残していったらしいものが置かれていた。幅の広いシステムデスクで、シンプルなデザインが気に入ったので、そのまま使わせてもらうことにした。

一通りの片付けを終えたところで、探索者は誰かの視線を感じる。振り返ると、部屋の隅に置かれたボロボロのぬいぐるみを発見する。元はクマかたぬきだろうと思われるそのぬいぐるみは、そこらじゅうの糸がほつれ、目玉はなく、手足や耳の先端は欠損している。口や脇腹には大きな穴があり、中身が溢れ出している。

不気味なぬいぐるみの容貌に、探索者は0/1の正気度ポイントを失う。


ぬいぐるみの足元には小さな紙切れが落ちており、そこには子供の字で「たぬきち」と書かれている。ここで探索者はぬいぐるみをそのままにしておくこともできるし、どこかに捨ててしまってもいい。ぬいぐるみへの対処を行ったところでシーンを切る。

その夜。眠っていた探索者は、ふと物音で目を覚ます。「みぃつけた…」。どこからともなく子供のような声が聞こえるが、周りには誰もいない。布団の上にいる、不気味なぬいぐるみ以外は。探索者が気付くと、ぬいぐるみは手にした包丁を探索者の肩口に突き立てる。探索者は1D3ポイントのダメージを受け、0/1D4の正気度ポイントを失う。そして気付けば、ぬいぐるみの姿はなく、再び声が聞こえてくる。

「次は〇〇(探索者の名前)が鬼」。



NPC

◆たぬきち、ニョグタの欠片を宿した呪いのぬいぐるみ
STR 20 CON 20 SIZ 4 INT 20 POW 15 DEX 13
耐久力 12 ダメージボーナス なし
武器:包丁 100% ダメージ 1D3
装甲:なし
正気度喪失:0/1D4


探索者の部屋

探索者の部屋は一人暮らし用の1LKの間取りで、玄関を上がった先にトイレ、バスルームと小さなキッチン、その先が現在探索者がいるリビングになっている。リビングには引っ越しにあわせて購入した真新しいテレビ、ベッド、机などが置かれており、窓にはカーテンが敷かれ、壁際にはクローゼットの扉がある。

シナリオ中で以下の場所を調べた場合、次のような情報や役に立つアイテムを手に入れることができる。

<机>
机の引き出しには、1枚のメモが残されている。これはかつてこの部屋で「ひとりかくれんぼ」を行った住人のものだ。メモには次のようなことが書かれている。

【ひとりかくれんぼの方法】

準備:
1.ぬいぐるみの綿を取り除き、米、鶏の心臓、自分の髪や血を詰める
2.糸で縫い合わせる
3.ぬいぐるみに名前をつける

始め方:
1.ぬいぐるみを水を張った浴槽に沈め、「最初は(自分の名前)が鬼」と3回言う
2.部屋に戻り、目を閉じて10秒数える
3.風呂へ行き、ぬいぐるみを包丁で刺す
4.「今度はあなたが鬼」と言い、塩水の置かれた場所に隠れる

終了方法:
自分が鬼になった後、ぬいぐるみを探して塩水をかける。
その後、ぬいぐるみから心臓を取り出し、「私の勝ち」と宣言する。

<キッチン>
引っ越したばかりで物は少ないが、調味料などは一通り揃っている。探索者が望めば、ここで塩水を作ることができる。ぬいぐるみは塩水がある場所には近づくことができないため、探索者が塩水を置いた場所に隠れれば、ぬいぐるみに発見されることはない。また、塩水をかけられたぬいぐるみは、一時的に行動不能になる。



かくれんぼの進行

以降では、探索者とぬいぐるみが交互に鬼になり、隠れた相手を探し合う「かくれんぼ」を行う。

<探索者の鬼>
キーパーは「隠れ場所表」から、ぬいぐるみの隠れ場所を一箇所決め、その番号をメモ用紙に書いてプレイヤーに見えないように伏せておく。この時、ぬいぐるみは塩水が置かれた場所には隠れることができない。探索者は自分が鬼の間、2回行動を行うことができる。この行動には、特定の場所を探したり技能ロールを振る行為などが含まれる。また一部の場所では、何かを発見する場合もある(「探索者の部屋」を参照)。
探索者がぬいぐるみの隠れている場所を発見するか、2回の行動が終わると、キーパーはぬいぐるみの隠れ場所を記したメモを探索者に見せる。
2回の行動でぬいぐるみを発見できなかった場合、「はい、時間切れ」という声と共に、ぬいぐるみが探索者の背後に現れる。ぬいぐるみは手にした包丁で探索者に切りかかり、探索者は1D3ポイントのダメージを受ける。 探索者がぬいぐるみを発見するか、あるいは時間切れになると「今度は僕が鬼」と声が聞こえてきて、ぬいぐるみが鬼をする番になる。
<ぬいぐるみの鬼>
キーパーは「隠れ場所表」の中から2箇所を選択し、その番号をメモ用紙に書いてプレイヤーに見えないように伏せておく。ただし、塩水が置かれた場所を選ぶことはできない。その後、探索者は隠れ場所を1箇所決めて、キーパーに宣言する。隠れることが出来る場所は「隠れ場所表」から選択する。
探索者が隠れている間、キーパーは部屋の中から物音がする、何かが近づいてくる気配がするなどといった演出を行ってもよい。また一部の隠れ場所では、何かを発見する場合もある(「探索者の部屋」を参照)。
その後、キーパーは伏せておいたメモを見せる。キーパーが選んだ場所に探索者の隠れ場所が含まれていた場合、探索者はぬいぐるみに発見される。ぬいぐるみは探索者に「見ぃつけた」と言いながら包丁で切りかかり、探索者は耐久力に1D3ポイントのダメージを受ける。
探索者がぬいぐるみに発見されなかった場合、ぬいぐるみは「今度は○○(探索者の名前)が鬼」と言って、再び探索者が鬼の番になる。

隠れ場所表
1.机の下(ぬいぐるみの場合は、引き出しの中)
2.クローゼットの中
3.ベッドの下
4.風呂場
5.トイレ
6.カーテンの中



危機からの脱出

探索者がマンションの部屋から出ようとすると、玄関の扉がどうしても開かないことが分かる。同様に部屋の窓もビクともせず、ガラスを割って脱出することもできない。固定電話は通じず、携帯電話は圏外になっている。危機を脱する唯一の方法は、探索者が鬼の時、机の引き出しのメモの「終了方法」を実践して勝利宣言を行うことだ。探索者が「私の勝ち」を宣言すると同時に、たぬきちはただのぬいぐるみへと戻り、探索者は生還することができる。


報酬:
正気度回復:+1D4


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