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クトゥルフ神話TRPG オリジナルシナリオ

黄昏の扉

GATE Of Twilight

■シナリオの概要

この世は黄昏。かりそめの時にして、次なる世界の前兆──

海底遺跡に建設された海洋テーマパーク『R’LyEH』を訪れた探索者たちの周りに起こり始める不可解な現象。些細な違和感から始まったそれはやがて世界の命運をかけた事態へと発展していく。

​

探索者は時間を操るというアーティファクトの力を借りて、幾度となく失敗を繰り返しながら破滅の時へと立ち向かう。迫りくるタイムリミット、果たして探索者は乗り越えることが出来るのか。

■ 探索者の作成について

​

探索者は友人同士という設定で作成する。年齢はなるべく近く、10代後半20代前半程度良いだろう

職業技能などは自由に選択して構わない。

■ 主なNPC

秋月 若菜(あきづき わかな)、若き天才物理学者

年齢:17歳 職業:物理学者

STR 9  CON 11  SIZ 10  INT 16

POW 13  DEX 10  APP 14  EDU 15

正気度 65  耐久力 11

ダメージボーナス:0

技能:物理学 90%  電子工学 81%  図書館 60%  英語 70%  博物学 50%

17歳にして博士号を取得。失踪した父の研究を引き継ぎ、タイムトラベルの実験に成功した天才少女。実験に成功したのはまだ極小の単粒子のみだが、人類初の快挙であると一躍脚光を浴びている。父が残した形見の時計(ハイパーボリアのアーティファクト)を所有。

秋月 駿(あきづき はやお)、若菜の父親/精神交換者

年齢:46歳 職業:物理学者

STR 42  CON 25  SIZ 67  INT 15

POW 13  DEX 10  耐久力 46

3年前に失踪した秋月若菜の父親。イスの大いなる種族と精神交換を行い、現在は遙かなる過去、神話の時代に存在している。そこで未来に起きることを知った彼は、世界を、そして娘を救うためにタイムマシーンを託す。

アリッサシャトレーヌ、魔女、銀の黄昏教団のマスター

年齢:300歳以上(外見は17歳)

本名:アンシャトレーヌ。復活した銀の黄昏教団のマスターであり魔女。今回、彼女は海洋テーマパーク『R’LyEH』に爆弾を設置。観客の命を生贄に大いなるクトゥルフの復活を企てる。

データは今回必要ないと思われるが、気になる場合はクトゥルフカルトナウ P.21を参照

シナリオ 導入

導入:開園待ちの列 #9:50

このシナリオの季節は夏。探索者たちは友人同士、休日を利用して最近オープンした海洋テーマパーク『R’LyEH』(ルルイエ)へ遊びに行く。『R’LyEH』は近年発見された海底遺跡に隣接する土地に建設され、地上から海底、地下3階まであるテーマパークで、特に海底3階には遺跡に由来するというグッズを販売する様々な店舗、水族館、海底を走る全面ガラス張りのジェットコースターなどがあり話題を呼んでいる。

シナリオは午前9:50から始まる。テーマパークの開園時間は10:00からで探索者たちは開園を前に列に並び開園を待っていると、携帯電話スマートフォンを所持している探索者に最新のニュースの着信が入る。キーパーは探索者に以下の情報を公開する

<テーマパーク、連日大賑わい>

『R’LyEH』は海底に作られたアミューズメントパーク。周辺海域には、近年発見された海底遺跡があり、その中を通り抜ける、全面ガラス張りのジェットコースターが話題を呼んでいる。

<タイムマシーンが現実に!?>

「秋月若菜」という若干17歳の天才物理学者が、タイムスリップの実験に成功。転送したのは極小の粒子1個であるが、人類初の快挙であると騒がれている。

<大量の火薬が盗まれる!>

明朝、火薬庫から大量の爆薬が盗まれる事件が発生。組織的な犯行の可能性もあるとして、警察は捜査を開始。

導入:開園 #10:00

午前10:00になると、放送が流れ、スタッフたちが入場門に配置される。至る所で歓声が上がり、入場受付が始まる。そんな中入場手続きを済ませ、探索者たちも施設に足を踏み入れる。入り口近くには、様々なグッズショップが並んでおり、背中に羽が生えたタコのようなゆるキャラ、このテーマパークのマスコット、『くとぅるー君』が歩き回っている園内はこの日を楽しみにやってきた観客で賑わい始める。

キーパーはこのシーンでさり気なくクトゥルー君の存在をアピールすること。

​

この後、探索者たちはパーク内を散策しながら、最下層である海底、地下3階フロアまでやってくる。途中、パーク内の様子を楽しげに演出しても良い。今回のシナリオの舞台はこの地下3階フロアであり、キーパーは他のフロアには何事もないことを、プレイヤーに明示する。

探索パート 1周目

地下3F入り口 #11:30

11:30。探索者たちは地下3階へとやってくる。キーパーは現在時刻をプレイヤーに伝えること。エレベータを降り、少し進んだところで〈目星〉による判定を行うようプレイヤーに伝える。〈目星〉に成功した場合、次の情報を公開する。

遠くに、黒いスーツに身を包んだ4人ほどの集団がいるのが目に留まる。中央にいるのはまるで人形のような外見の外国女性で、年齢は高校生くらいにも見える。その服装や外見は、テーマパークに並ぶにしては浮いている。彼女らは、まだ午前中だというのに、出口の方へと歩いて行く。

尚、ここで彼女たちを追いかけようとする探索者がいる場合、キーパーはパーク内が混雑していて彼女たちに近づくことは出来ないということを伝え、パーク内にそのまま留まるよう探索者を誘導する。

謎の老人と真球の石 #12:30

昼時になると、探索者たちは食事を取るためレストラン街の付近に向かうことになる(CON×5判定に失敗したら空腹を感じるなどの演出を入れて誘導しても良いだろう)。そして時刻は12:30。食事を終えて店を出た所で、探索者たちは突然声をかけられる。声を掛けてきたのは、深くフードを被った背の低い老人で、キャラクターショップの前に机を出し、占いをしている。彼の前には2枚のカードが置かれており、探索者が興味を示すと彼はそのカードを開く。開かれたカードは「塔」と「運命の輪」で、彼は探索者たちがこれから逃れられない災厄に出会う定めであることを伝え、次のように助言する。

ラッキーカラーは青、ラッキーアイテムは丸い石でございます」

そう言う彼の背後、ショップの棚には尖端に直径1cmほどの丸い宝石が填められたペンダントが並んでいるのが分かる。どうやら最後の1個のようだ。占い師は「今なら1000円ぽっきり。いかがですか?」等とそのペンダントを探索者に勧める。

ペンダントに対してアイデア:

 成功した探索者は、その石が完全な球体(真球)であることに気づく。

​

ペンダントに対して地質学:

 上記に加えて、先端についている石が、今まで見たことがない材質で出来ていることが分かる。

キーパーは何としてもそのペンダントを探索者に買わせるよう誘導すること。値段を下げたり、最終的にはタダにしても構わない。どうしても買わなかった場合は、いつの間にかポケットに入っている演出をしても良い。この場合、不思議な減少に探索者の正気度ポイントが0/1減少する。探索者がペンダントを入手したら、その後のイベントのために、誰が持つかをはっきりと決めさせておくこと。

自由時間 #12:30〜14:45

ここからしばらくの間は、何もイベントがない。探索者にはパーク内を自由に散策させる。いくつかのアトラクションを演出するのも良い。また、スキップしてしまっても問題ない。ただしジェットコースターはこの時間、長蛇の列が出来ており乗ることができない。この間、次の異変が起きるまで、探索者には楽しい時を送らせる。14:45からは複数のイベントが連続して発生する。キーパーは時刻を明示しながらプレイヤーを誘導する。

ペンダント盗難事件 #14:45

14:45。広場の付近などにいる探索者たちが、次はどこに行こうか等と、仲間同士の会話に気を取られているところでこのイベントが発生する。突然、ネックレスを所有している探索者に後ろからドン、とマスコットのくとぅるー君がぶつかり、そして走り去っていく。ネックレスを所持していた探索者は、それがいつの間にかなくなっていることに気づくことができる。走り去っていくくとぅるー君を見れば、その手に先ほど購入したペンダントが握られていることが分かる。

探索者がくとぅるー君を追いかける場合、〈追跡〉による判定が必要になる。失敗した場合は、その場でくとぅるー君を見失ってしまう。また成功した探索者がいた場合も、次のような状況が発生してくとぅるー君を見失う。

くとぅるー君は広場へと向かい、キャラクターグッズ店の周りをまわる。しかし、曲がり角を曲がった所であなたの足が止まる。そこには何体もの同じ姿の着ぐるみが、子供たちに風船や飴を配っている。どれも見た目は同じで、見分けることは出来そうにない。

立ち止まっていると、追跡に失敗した/追跡しなかった探索者も追いついて、合流することになる。

謎のメール #15:00

15:00。ここでキーパーはダイスを振り、スマートフォンを所有している探索者の中からランダムで1名を選ぶ。対象が決まると、選ばれた探索者のスマートフォンにメールの着信が入る。

<謎のメール>

件名: Re:

差出人:{メールを受け取った探索者の名前}

本文はなく、1枚の画像だけが添付されている。画像はこのテーマパーク地下3F、このフロアのもののようだ。水族館の南西部に「」印と「1705」という数字が書かれている。

この後、探索者は水族館の「」印の場所へ向かうかもしれない。しかしその場所はただの通路で、左右に壁があるだけで何もない。

※この数字は時刻17:05を表しており、「」はその時間(実際はその時間以降)にそこに行けという指示を意味している。17:05以降にそこに向かった場合は、秋月若菜の父が残したイスの隠し部屋への入り口が出現する。実際に探索者がそこに至るのは、3週目になってからになるだろう。

自由時間2 #15:00〜16:15

15:00から16:15の間も、探索者が自由に動ける時間となる。この間、探索者は『水族館の「」印を見に行く』『ジェットコースターの列に並ぶ』等の行動が可能だ。水族館の「」印の場所は前述の通り、通路があるだけで何も発見することはできない。ジェットコースターはまだ長い列が出来ている。客は減り始めているが、空き始めるにはもう少し時間がかかるだろう。

若菜との出会い #16:15

16:15。この頃になってくると、ジェットコースターの客が減り始めている。キーパーは、今ならしばらく待てば乗れるかもしれないことを教え、広場ジェットコースターの前あたりまで、探索者を誘導する。探索者が広場に差し掛かったところで、誰かが声をかけてくる。

誰かが探索者たちに声をかける。

「やっと見つけた…!」

そう言って呼び止めてきたのは、10代後半、高校生くらいの少女だ。彼女は探索者たちを知っている様子だが、探索者たちには彼女のことは覚えがない。

●ここで、朝ニュースを見た探索者にアイデアロールを行う。またこの判定は〈物理学〉でも代用が可能だ。成功した探索者は、彼女がタイムトラベルの実験に成功したという天才物理学者、秋月若菜であることに気付く。

彼女は15:30にカフェテリア(※)にいたところ、突然探索者たちがやってきて呪文のようなものを唱え、その後、彼女が持っていた携帯用のソーイングセットを借りて逃げていってしまったと言うが、探索者たちには身に覚えがない。

※15:30に探索者がカフェテリアにいた場合は、水族館、広場等別の場所に変更する。

消失 #16:30

16:30。次のイベントは若菜とのやり取りの途中に発生する。ソーイングセットの話が出た後の適当なタイミングで差し込むこと。話の途中、突如として「キィィン」と耳をつんざくような強烈な高周波が探索者を襲い、探索者は思わず耳を塞いで目を閉じてしまう。音は一瞬で収まり、探索者がゆっくり目を開けると、今さっきまで目の前で話をしていた若菜の姿が消えているのに気づく。周囲の人たちに聞いても、彼女のことを見た者はおらず、それどころか、最初から探索者たちしかいなかったと答える。

ついさっきまで話していたはずの彼女の姿が突然消えた。その不可思議な現象に遭遇した探索者は0/1の正気度ポイントを失う。

運命の足音 #16:50

突然目の前から消えた若菜に困惑しているうちに、時間が経過していく。探索者は若菜を探すかもしれないし、そのままジェットコースターの列に並ぶかもしれないが、いずれにしてもキーパーは探索者をジェットコースター乗り場と広場の間付近へ向かうよう誘導する。あまり描写を挟まず、若菜が消えた後、困惑している間に時間が経過したことにしてしまっても構わない。16:50をまわった所でイベントが発生する。

突如、パーク各所に設置されたモニタが乱れる。不快な電子音が館内に設置されたスピーカーから流れ、モニタに若い女の姿が映し出される。

「皆様、ごきげんよう」

女は丁寧な口調で告げる。

「お楽しみのところ失礼致します。わたくしの名前はアリッサシャトレーヌ。

 銀の黄昏教団のマスターとして、皆様にご挨拶をさせて頂きます」

突然の放送に、館内からどよめきの声が上がる。

突然モニタに現れたアリッサシャトレーヌは、淡々とした口調で演説を開始する。

<アリッサの演説>

『理性』ある皆様は日頃から自らを律し、他者を思いやり、正しく、毎日を送られていることでしょう。……しかし、ご存知でしたでしょうか?この大宇宙全体で見れば、人間の『理性』なるものは極めて異質で、異常な存在に過ぎないということを。この宇宙には、想像もつかないような真実──人のことなど気にもかけない白痴の神や巨大な怪物たちが存在しているのです。では…取るに足りない我々人間が、この世界に存在する理由とは何なのでしょうか?それは、今この世界が『黄昏』であることを知ることです。黄昏とは、仮初のときであり、次の世界が来る前兆……そして、事実に則し『大いなるもの』たちを束縛から開放し、地球上で当然占めてしかるべき座に復帰させること。それがあなた方人間の、短く儚い命の、崇高なる使い道なのです!さあ、始めましょう。あなた方の命を以て、遍く世界に思い知らせるのです。地上の支配者を、宇宙の真実を、大いなるものたちの帰還を──!

大きな爆発音が響き、パーク内が大きく揺れ、至る所で悲鳴があがる。爆発音が聞こえたコースターの入り口付近からは、煙が上がっているのが見える。ここで探索者は全員アイデアロールを振る。

※ここは、探索者の現在位置に応じ、コースターではなく広場の爆弾から先に爆発したことにしても良い。

<第二の爆弾>

アイデアロールに成功した探索者は、広場の入り口、あなたのすぐ近くのベンチの影に、不審な黒いカバンが置かれているのに気付く。持ち主らしき人物は、近くにはいない。

そして、さらなる音と閃光───爆弾の爆発によって、探索者は以下のダメージを受ける。

アイデアロールに成功した探索者は2D6、気付かず逃げ遅れたPCは3D6

また、クリティカルの場合は1D6、ファンブルは4D6

第二の爆弾は17:00に発生する。キーパーはこの時刻をプレイヤーに伝えること。このダメージにより、気絶、もしくは死亡するキャラクターが出て来るかもしれない。その際は状況に応じ、次のように処理をして次のイベントに進める。

​

意識を保ったキャラクターがいる場合:

死亡したキャラクターはしばらくの間、死亡のまま処理を進める。気絶しているキャラクターは、応急処置によって意識を取り戻すことが出来る。また、応急処置が出来ない場合も、再度CON×5に成功すれば目を覚ますことが出来る。その後、「黄昏 #17:05」へ進む。

​

生きているキャラクターがおり、意識を保ったキャラクターがいない:

生存しているキャラクターは再度CON×5を行い、成功すれば目を覚ますことが出来る。意識を取り戻したキャラクターがいた場合は「黄昏 #17:05」へ。もしここで誰も意識を取り戻せなかった場合、「消えゆく意識 #17:05」へと進む。

黄昏 #17:05

17:05。爆発の衝撃が収まり、ようやく身動きが取れるようになる。

探索者たちの前には、まさに悪夢のような光景が広がっていた─────。

至る所に人が倒れ、動かぬ我が子を呼び続ける母親、泣き叫び親を探す子、腕や足を失い、苦痛に苦しむ者…

血が飛散して、元の形さえ分からない、肉片までもがそこかしこに転がっている。

悪夢のような光景、恐ろしい事態に、探索者の現実は崩壊していく…

探索者はSANチェックを行い、成功なら1D3、失敗なら1D8の正気度ポイントを失う。

この後さらに、施設の崩壊が始まります。ミシミシと、強化ガラスの外壁にヒビが入り、徐々に施設内に海水が流れ込んでくる。「逃げろ!」と、誰からともなく声が上がると、生き延びた人間たちは慌てふためき、エレベータホールへ向っていく。バチバチと、水に沈んだ電線が音を立て、緊急ブザーがけたたましく鳴る中、探索者は秋月若菜の姿を発見する。彼女は広場の出口付近で重症を負い、倒れている。

探索者たちは手負いの体を引きずり、互いに支え合いながら出口を目指す。そして、朦朧とする意識の中で、彼女を発見する。秋月若菜だ。彼女も重症を負い、血を流して倒れている。金属の破片が腹に深く突き刺さり、もう手遅れであろうことは容易に想像出来る。彼女は探索者たちを発見すると、必死に探索者たちに手を伸ばす。

​

「お願い…誰か。この、時計を…」

​

彼女の手には、何かが握られていた。それは奇妙な形をした銀色のペンダントで、その尖端には2つの輪が重なった、丁度、地球ゴマのような形状のリングが付いている。一見して、時計のようには見えない。探索者が近づくと、彼女はリングの一方を反時計回りに回す。

​

「…私に会って、伝えて。15:20…カフェテリアの窓側の席…」

​

そして、彼女は息絶える。

この後、「大いなるクトゥルフの帰還 #17:07」へと進む。

消え行く意識 #17:05

2回目の爆発の後、全探索者が意識を失うか死亡していた場合はこちらのイベントを進む。消え行く意識の中、探索者たちの元へ若菜がやってくる。彼女も重症を負い、地獄のような光景の中、生存者を必死に探している。

「…まだ…息がある……」

​

 若菜はあなたたちに近づくと何かを取り出す。それは不思議な形をした銀色のペンダントで、その尖端には2つの輪が重なった、丁度、地球ゴマのような形状のリングが付いている。彼女はリングの一方を反時計回りに回す。

​

「お願い…私に会って、伝えて。15:20…カフェテリアの窓側の席…」

​

 そう伝えて時計をあなたたちに渡すと、彼女は崩れ落ちる。

直後、大きな揺れを感じる。強化ガラスの外壁が割れ、施設内に海水が流入してきたのだ。

この後、「大いなるクトゥルフの帰還 #17:07」へと進む。

大いなるクトゥルフの帰還 #17:07

若菜が探索者たちに願いを託したところで、1周目最後のイベントが発生する。広場に設置されたモニタから惨状を見下ろして、アリッサシャトレーヌが最後の仕上げを開始する。

この宇宙にとっては、人間などほんの小さな泡沫に過ぎない存在。『理性』を捨て、何もかもを受け入れて、そして知るのです。

……そうすれば、あなた方は高位の存在として生まれ変わり…全ての苦しみから解き放ち、安寧を手に入れることが出来るでしょう

「黄昏を断ち切り…青き深淵なる世界へ」

 これは後々、爆弾を解体する際に切るコードの色のヒントにもなるものだ。

キーパーは彼女の最後の言葉を強調すること。そしてその後、彼女は呪文を詠唱する。

ふんぐるい むぐるうなふ

くとぅるふ るるいえ

うが=なぐる ふたぐん

エレベーターホールで、最後の爆弾が炸裂する。人々の悲鳴に混じり、大きな地鳴りが響く。

外壁が割れ、海水が全てを押し流し、そして、それは目を覚ます。破滅と狂気を携えて───。

”大いなるクトゥルフの帰還”を

目撃した探索者は1D10/1D100の正気度ポイントを失う。

このイベントで1周目は終了し、時間が巻き戻されて2周目へと移行する。

探索パート 2周目

帰還 #15:17

探索者は若菜の持つ時計の効果で、15:17に戻る。探索者が気がつくと、最初の周回で同時刻にいた場所に立っている。周囲からは客たちの楽しげな声が聞こえ、探索者には先ほどの光景がまるで夢だったかのように感じられる。ここでは以下の処理行う。

​

死亡した者を含め、探索者は全てのダメージを回復する(ファンブル等で15:17前に負ったもの以外)

また、直前のSANチェックで失ったSAN値の9/10(端数切り捨て)を回復する(これは永続的狂気(SAN値ゼロ)に陥った探索者も対象)

気絶、死亡を解除する

永続的狂気を含む全ての狂気を解除する

​

この処理が終わり、時計を見ると15:17を指していることが分かる。

カフェテリア #15:20

15:20。約束の時間にカフェテリアへ向かうと、窓際の席で本を読む秋月若菜の姿を見つけることが出来る。彼女に未来の記憶は残っておらず、探索者が話しかけると怪訝そうな顔で「誰?」と答える。彼女の協力を得るためには、探索者たちが未来で起きた事、そして時計の話を若菜に切り出すことが必要だ。彼女は時計の存在を他の誰にも秘密にしており、また彼女は父の言いつけにより、安易に「時計」を使わないことを心に決めているのだ。このため、若菜は時計を使ったということは、そうせざるを得ない事態が発生したのだ、ということを理解して探索者たちに協力してくれるようになる。以下には受け答えの例をいくつか示す。

●時計について

「これは物理学者だった父の残した…形見なんです」

彼女はこれが、行方不明になった彼女の父が、グリーンランドに旅行した際に手に入れたもので、この時計にインスピレーションを得て、父がタイムスリップの理論を打ち立てたのだという。

「でも……誰もそれを信じてはくれなかった」

「父は学会からも追放されて、私たち家族の前からも姿を消したんです。この時計を残して」

●時計の力について

「父は言っていました」

「このリングを反時計周りに回すことで、周囲にいる人の時間を少しだけ巻き戻すことができると」

彼女は時計を見つめながら言う。

「でも、決して回してはいけない、のだと。回せば『猟犬』がやってくると」

●猟犬とは?

「何も分かりません。でも、とても恐ろしいものだと言っていました」

「父の言葉の意味は分かりませんでしたが、私は父の言いつけを守ることにしていました」

「余程の事が、起きない限りは…」

彼女は爆弾の話を聞くと、自らそれを解体することを提案する。彼女は電子工学も少し齧っており、簡単な爆弾程度なら自分でも解体出来るのだという。もし探索者たちが係員や警察に連絡しようとするなら、キーパーは若菜の口から『下手に動くとテロリストにバレて爆破される可能性がある』ことを伝え、探索者たちの手でこの件に立ち向かうよう誘導すること。

エンディング:逃走の果てに #15:20

過去に戻った後、もし探索者が施設から逃げ出すことを選択した場合、そこには滅びの運命が待ち受けている。キーパーはプレイヤーに対して十分に警告を行い、それでも探索者がこの道を選択した場合には、次のエンディングへ進む。爆弾は起爆され、大いなるものが復活する。人知を超えた彼らは、人類の作り上げた文明を蹂躙し、破壊の全てを尽くすだろう。もはや対抗する手立ては残されていない。探索者は1D10/1D100の正気度ポイントを失う。そして、その結果によらず、探索者たちの物語はここで終わりを迎える。

爆弾解体 #15:40〜

探索者はカフェテリアで秋月若菜の協力を得た後、爆弾の解体に向かうことになる。カフェテリアでのやり取りの後、時刻は15:40を回っている。爆弾の解体には、次の手順を踏む必要がある。

●爆弾を探す

先の周回で、探索者は爆弾のだいたいの位置は把握出来ているものの、探索者の目の前で爆発した広場入口の爆弾を除く、ジェットコースター入り口、エレベーターホール付近の爆弾について正確な位置までは分からない。ジェットコースター入り口、エレベータホール付近の爆弾を探す場合は、探索者に〈目星〉による判定が必要である(探索者たちの〈目星〉技能がいずれも低い場合には幸運でも構わない)。成功すればすぐに爆弾を発見することが出来る。また、失敗すれば時間をかけ、再度挑戦することが出来る。再挑戦にかかる時間の目安は、5分程度が良いだろう。

●爆弾を解体する

爆弾を発見すると、若菜はソーイングセットから糸切りバサミを取り出して爆弾を解体していく。この爆弾の解体は必ず成功する。爆弾の構造は単純なもので、爆弾の解体を近くで見ている探索者はINT×5、または〈機械修理〉〈電気修理〉〈電子工作〉などの判定に成功すると、爆弾の解体手順を覚えることが出来る。爆弾の解体方法を覚えた場合、以降はDEX×5またはINT×5に成功することで爆弾を解体することが可能になる。爆弾解体にかかる時間は1個あたり15分~20分程度を目安とする。

爆弾はが仕掛けられているのは以下の3箇所:

ティンダロスの猟犬 #16:XX

探索者は〈目星〉または〈聞き耳〉の判定を行う(ここでの〈聞き耳〉は嗅覚を代替するものである)。成功した探索者は次のことに気付くことが出来る。

フロアの角から青黒い煙が立ち上っている。

同時に気付くのは臭いだ。酷い刺激を伴った悪臭────

突然、若菜が「あ…」と小さく声をもらす。探索者が振り返ると、太く、曲がりくねった鋭い注射針のようなものが、背中から秋月若菜の胸を貫通しているのを目撃する。その尖端から、そして若菜の口元から、赤い液体が滴る。そして、引き抜かれるとともに、大量の血液が吹き出す。

それは痩せて、飢えていた。宇宙の邪悪さが全部、その痩せて飢えた体に集約されているかのようなそれは、体なのかどうかさえ、確信は持てないが…

​

連想される言葉は──『猟犬』

​

その『猟犬』は太く曲がりくねって鋭く伸びた注射針のような舌を垂らし、原形質に似ているが酵素を持たない、青みがかった脳漿のようなものを全身から垂らしていた。

その悍ましい、邪悪な存在を目にした探索者たちは1D3/1D20の正気度ポイントを失う。

倒れた若菜は最後の力を振り絞り、探索者たちに逃げてと伝えながら、ペンダントへと手を伸ばす。

そして再び、『時計』の針が戻される……

探索パート 3周目

帰還 その2 #15:17

探索者は再び若菜の持つ時計の効果で、15:17に戻る。例によって周囲からは客たちの楽しげな声が聞こえ、探索者には先ほどの光景がまるで夢だったかのように感じられる。ここでキーパーは以下の処理を行う。

​

死亡した者を含め、探索者は全てのダメージを回復する(ファンブル等で15:17前に負ったもの以外)

また、直前のSANチェックで失ったSAN値の9/10(端数切り捨て)を回復する(これは永続的狂気(SAN値ゼロ)に陥った探索者も対象)

気絶、死亡を解除する

永続的狂気を含む全ての狂気を解除する

​

この処理が終わり、時計を見ると15:17を指していることが分かる。

この先の方針

3週目に入った探索者は、1周目、2周目の出来事を元に様々な行動を取ることが予測される。このため、この周回ではキーパーのアドリブと時間管理が非常に重要となる。様々なケースが考えられるため、ここには全体的な指針のみを記していく。ただし次のポイントは必ず抑えられるよう、キーパーは探索者を誘導すること。

​

<3週目の流れ>

爆弾を解体し、爆発を阻止する試みは全て、ティンダロスの猟犬によって阻まれる。キーパーは時間の経過を描写して、探索者を追い詰めること。若菜も猟犬の前に倒れ、また頼りの時計も破壊されてしまいく。やがて、時間になるとアリッサの演説が始まり、施設内に設置された爆弾が起爆される。探索者たちは最後の望をかけてメールにあった水族館の「」印の場所へと向かい、そこで最後の切り札である呪文とタイムマシーンを入手し、過去へと跳ぶことにる。

若菜との再会

探索者は再びカフェテリアにいる彼女に接触を図るかもしれない。また、猟犬の出現を畏れて、別行動を取る可能性もある。いずれの場合も、探索者はどこかで彼女と出会うように仕向ける必要がある。以下に、それぞれのケースでの進行を記載する。

●カフェテリアにいる彼女に接触する

この場合のケースでは、2周目と同じ流れになる。2周目と同じやりとりは描写をスキップしても構わない。その後、2周目と同じく共に爆弾解体に向かうことになる。爆弾の解体に向かう頃、時刻は15:40を回っている。

●自分たちだけで爆弾を解体する

2周目に探索者が爆弾の解体手順を記憶していた場合、若菜に会わず、自分たちで爆弾を解体しようとするかもしれない。この場合は別途、爆弾解体に必要な刃物を入手する必要がある。刃物を入手すると、時刻は15:40を回っている。そして向った先、いずれかの爆弾の近くで偶然、彼女に出会う。

爆弾の解体

爆弾の解体に向かった探索者はまず、発見されていない爆弾がある場合、爆弾の位置を特定する必要がある。爆弾を見つけるには〈目星〉または〈幸運〉の判定に成功する必要がある。失敗した場合は5分程度、時間が経過した上で再挑戦することが可能である。

次に爆弾の解体。爆弾の解体が可能なのは若菜、または爆弾の解体手順を覚えている探索者のみである。2周目で爆弾の解体方法を記憶していた探索者はDEX×5またはINT×5の判定に成功すれば、爆弾を解体することが出来る。しかし判定の成否に関わらず(判定に成功した場合はあと一歩で爆弾を解体という所で)ティンダロスの猟犬が出現し、爆弾の解体は阻止されて、探索者は逃亡を余儀なくされる。

そして再び、猟犬は鋭角から現れる

若菜と共に爆弾を解体、または探索者たちだけで爆弾を解体している途中、若菜と再会したところで、ティンダロスの猟犬が出現する。探索者は再びあの酷い刺激臭を感じ、そして若菜が下げた時計の鋭角から青黒い煙が立ち上っているのを目撃する。そして気づいた時点で既に遅く、猟犬は探索者が動くより早くに若菜と、そして彼女の持つ時計をその舌で貫く。心臓を一突きにされた彼女はその場に倒れ、そしてグニャリとへし曲げられた時計が床に転がり、猟犬はそれを無慈悲に踏みつけて探索者たちを睨みつける。これは、これ以上の時間遡行が不可能になったことを、そして若菜の命を取り戻す術がないことを意味している。キーパーはそのことを探索者たちに告げ、絶望感を煽っていくと良い。

その後、探索者が爆弾を解体する行為は全てティンダロスの猟犬が阻まれる。猟犬は爆弾に近づこうとする探索者の前に必ず現れて、接近を阻止する。またこの際、探索者が戦闘技能に振っている場合はティンダロスの猟犬と戦闘させても良い。その場合は適当に攻撃を受けたところで一旦黒い煙になって姿を消し(あまり長引かせず1~2ターンくらいで逃走させて下さい)、直後に再び別の鋭角から黒い煙が立ち昇りはじめる。猟犬は決して死ぬことはない。猟犬が煙の状態であれば、探索者はその場から逃走することが可能である。その後、逃げる先々で猟犬は角から出現してくる。〈目星〉や〈聞き耳〉に成功すれば、いち早く察知して逃げることが可能である。

いずれにしても、探索者は爆弾に近づくことが出来ず、爆弾を解体しようとする試みは全て失敗に終わる。そして、猟犬との戦闘や逃走の度に時間が経過していき、やがて、運命の時間がやってくるのである。

ティンダロスの猟犬

STR 17  CON 31  SIZ 17  INT18

POW 25  DEX 10

ダメージボーナス:+1D6

攻撃:前脚 90% 1D6+DB+POT2D6、舌 90% 1D3 POW吸収

装甲:2点、毎ラウンド4点回復、物理無効

時間の角に住まう猟犬。今回のシナリオでは、時を戻す時計を使用した秋月若菜と彼女が持つ時計、そして時計による時間跳躍を行った探索者を追尾する。

黄昏の扉 #16:50〜17:05

16:50。猟犬の前に探索者は為す術無く追い詰められ、その時を迎える。再びモニタにアリッサの姿が映し出され、彼女の演説が始まる。猟犬は爆弾の前に居座り、探索者を近づけようとしない。やがて第一の爆弾が爆発する。施設は大きく揺れ、強化ガラスの外壁にヒビが入る。さらに17:00には第二の爆弾が起爆される。崩壊していく施設。キーパーは、施設が傾き、東側が浸水して水族館の側に追い詰められていくなどの描写で探索者が水族館の「」に向かうよう誘導すること。

探索者が水族館の「」印の場所に17:05より前にやってきた場合、そこには何もない通路の壁があるだけだ。そして17:05になると施設の崩壊が始まる。激しい振動、施設を支える支柱が折れ、強化ガラスが割れて、大量の水が施設に流れ込む。その時、大きく施設が傾き、目の前の壁が崩れる。

そして17:05。探索者たちは崩れた壁に大きな穴が開き、その先に洞窟のようなものが口を開けているのを目にする。この洞窟は若菜の父が残したイスの隠し部屋へと繋がっている。探索者たちがその奥へと進むと、やがて開けた広い部屋に出る。

そこにあるのは、装置だった。部屋の中には奇妙な機械が並べられている。壁からはいくつもの金属の管が這っており、中央にある、巨大なカプセルのようなものに接続されている。カプセルには入り口があり、内部は探索者の人数程度が入れるほどの大きさがあるようだ。あなたたちが部屋に踏み入れると、カプセルの周りの機械が起動音を立て始め、ランプに光が灯っていく。そして、幻覚のようなホログラムの光景が、あなたたちの目に映り込む。

誰かが、探索者たちに語りかけてくる。

『ようやく……たどり着いたようだな』

 それは巨大な円錐体の生物で、その頂部からはくねくねとした器官が伸びている。彼の言葉は、理解出来るはずがないのですが、まるで情報の濁流のように頭の中に流れ込んでくる。

『君たちがこれを聞いているということは、運命の時が迫っているということなのだろう。私は今、彼らと意識を交換して、君たちにとっての遥かなる過去、神話の刻に存在している。全ては・・・滅びの宿命を変えるために』

彼は探索者たちに向かって言う。

『これは『時間を遡る』ための装置、その試作品であり、精神だけではなく物質までもを過去へと送ることの出来る──私が君たちに託す次元転移装置…タイムマシーンだ。』

そして彼は話を続ける。

まず・・・今までの時間遡行。それはあくまで精神のみを短い時間、巻き戻すものに過ぎなかった。

またそれだけではなく、重大な欠点をはらんでいた。

それが『ティンダロスの猟犬』だ。

あの痩せて飢えた不死の猟犬は時間の「角」に住まい、時間に干渉する者を監視し、発見したものを追い続け……時間の果てまで、次元を超えてやってくる。

…しかし、彼は長年の研究の末に、その猟犬を克服する術を発見する。それがこのタイムマシーンであり…

『君たちのために、猟犬への対抗手段をここに残そう────』

そして探索者は、次の呪文を習得する。

<ジレルスの結界石>

必要なのは、角のない”真球の石”と”呪文”である。石を猟犬にかざし、任意の人数のPCが、任意の点数のMPを消費する。そして、消費したMPの総計×5%を目標に代表で1名が判定を行う。成功した場合、石の中に、ティンダロスの猟犬を封じる事ができる。

呪文を習得すると、神話的知識を得た探索者はSANを1D5ポイント失い、クトゥルフ神話技能を5%獲得する。そして、処理が終わると彼は探索者たちに伝える。

『この時間跳躍はイレギュラーなものだ。決して、過去の自分に未来から来た自分の存在を気づかれてはいけない。

 それは重大なパラドックスを引き起こし、不測の事態を巻き起こすだろう』

​

『だが、お前たちは既に見てきたはずだ。最初の世界…そこでお前たちが何をしたのか…』

『知っているはずだ。お前たちが、何をすべきかを』

​

『チャンスは一度きりだ。さあ行け、そして運命を変えろ

『世界が、黄昏に沈む前に──!』

こうして幻影は”彼”の最後の言葉を残して消えていく。

『──娘を……若菜のことを、頼む』

幻影が消えるとカプセルの入り口が開く。探索者がそれに乗り込むとタイムマシーンは起動する。

エンディング:タイムアップ

もし、探索者が17:05までに水族館の「」印に行くことを思い付かず、そこにたどり着くことができなかった場合、こちらのエンディングに移行する。この場合、最後の爆発が発生し、アリッサシャトレーヌの詠唱が完了する。再び、大いなるクトゥルフは蘇り、真なる地上の支配者が帰還することになる。探索者たちは再び1D10/1D100の正気度ポイントを喪失する。そしてその結果に依らず、崩壊する施設と共に、海底へと沈んでいく。

シナリオ クライマックス

帰還 その3 #14:30

光が晴れ、気がつけば探索者たちは薄暗い部屋で目を覚ます。探索者は倉庫に転送されている。周りには様々な備品の入った段ボールや大道具、風船や飴などの小道具、パークのマスコット「くとぅるー君」の着ぐるみ等が複数置かれている。時計を確認すると、現在14:30であることが分かるだろう。1周目に真球の石のネックレスを盗まれた14:45の少し前の時刻だ。

<ここからの展開について>

ここからは、探索者は1周目で体験した事象を手がかりに、ティンダロスの猟犬を封印、爆弾を解体し、クトゥルフの召喚を阻止する必要がある。そのためにはそれぞれの事象が発生した時間に添って、細かな手順をクリアしていく必要がある。キーパーは一旦ここでゲーム内の時計を止め、プレイヤーたちに状況を整理して作戦会議を行う時間を与えると良いだろう。

●ここで探索者が達成しなければいけないイベントは、次の通りである:

 #14:45 真球の石が付いたペンダントを手に入れる

 #15:00 過去の自分にイスの隠し部屋の場所を示したメールを送信する

 #15:30 カフェテリアにて、若菜に襲いかかるティンダロスの猟犬を封印する

 #15:30 同時に、若菜からソーイングセットを借りる

 #15:4016:30 爆弾を解体する

もし途中、小さなやり忘れ(メールの送り忘れ、ソーイングセットを借り忘れる等)が発生した場合、エンディング後の展開が若干変化する。また途中で過去の探索者に自分たちの存在を知られたり、猟犬の封印に失敗した場合はバッドエンドに繋がる可能性がある。ただし、探索者があまりに慎重になりすぎても話が進まない。このため過去の探索者との接触については、直接正面から向き合う至近距離で顔を見られる、といったことがない限り、多少近くを通り過ぎても気づかれることはないことをキーパーは探索者に伝えておくと良い。

ペンダントの入手 #14:45

ペンダントを入手するには、倉庫に置かれている「くとぅるー君」の着ぐるみを着て過去の自分たちからペンダントを盗み出す必要がある。「くとぅるー君」の着ぐるみは倉庫に探索者の人数分発見できる。また、妨害のための小道具(1周目で「くとぅるー君」たちが配っていた風船や飴)が置かれている。これらは特に判定を行わなくても入手可能であるが、探索者の技能が高ければ〈目星〉を振らせても構わない。過去の探索者たちは話に気を取られているため、「くとぅるー君」に扮して後ろから近づき、ペンダントを奪う行為は自動成功となる。しかしその後、過去の探索者はペンダントを奪った追いかけてくる可能性がある(これは最初の周回での探索者の行動に依存する)。この場合、1周目に「くとぅるー君」の〈追跡〉に成功した探索者とのDEXの対抗ロールが発生する。DEX対抗ロールに成功すれば逃げ切ることが出来る。また残りのメンバーが「くとぅるー君」に扮して曲がり角の先に待機しておくことで、過去の探索者を撹乱することも可能だ。この場合、DEX対抗ロールに失敗しても過去の探索者は対象を見失い、逃走は成功となります。

尚、撹乱を行わず、またDEX対抗ロールにも失敗した場合、探索者は過去の自分たちに捕まってしまう。この後、脱出するためにSTR対抗ロールを行ってもよい。それでも逃れることが出来ず、過去の自分たちに正体がバレてしまった場合、即座に視界が暗転しバッドエンドとなる。

メールの送信 #15:00

彼の最後の言葉を残して。「」印のされたメールは探索者たちがイスの秘密部屋にたどり着くために必要な情報である。このため、これを忘れるとタイムパラドクスが発生する(エンディング後の展開が変化する)。メールの送信は1周目にメールを受信した探索者が自分自信に宛てて同じメールを送信することを宣言すれば、自動で成功するだろう。

ジレルスの結界石 #15:30

次の行き先は1周目、若菜が15:30に探索者たちに会ったという場所(カフェテリアを想定しているが、1周目の展開によっては別の場所となる。1周目を参照)である。探索者たちがそこに行き着くと、彼女の背後で青黒い煙が立ち上り始める。キーパーは探索者に〈目星〉または〈聞き耳〉(嗅覚扱い)で判定させる。

● 目星、または聞き耳に成功した場合:

 成功した探索者は気づく。あの臭いだ──

●目星、聞き耳に失敗した場合:

 彼女を発見した探索者たち。しかしあなたたちが気づいた時には異変は既に始まっていた。

​

若菜の背後。彼女は気づいていないが、近くの鋭角から青黒い煙が立ち上り、忌々しい姿を形作っていく。そして、ティンダロスの猟犬が姿を現す。

「え、何?あなたたち誰?あなたたち一体?」

若菜は突然やってきた探索者たちに困惑しているようだ。

ここからは戦闘ラウンドに突入する。しかし、ティンダロスの猟犬は出現したばかりであるため、1ラウンド目は探索者が先制することが可能だ。不死の猟犬に対抗する唯一の手段は若菜の父に教えられた呪文を使うことである。呪文の発動に成功すれば、猟犬を石の中に封印することが出来る。

石を掲げ、呪文を唱えると、放たれた光が猟犬を捉える。猟犬は苦しみもがきながら、吸い込まれるように石の中へと消えていく。

「え?あの、何か?」

一方の若菜は状況が飲み込めずにいるようだ。

呪文に成功すれば、探索者はティンダロスの猟犬を石に封印することが出来る。

エンディング:不死の猟犬 #15:30

探索者たちが真球の石のペンダントを持たないまま若菜の元を訪れた場合、猟犬は容赦なく探索者と若菜に襲いかかる。

ティンダロスの猟犬は物質的なダメージを一切受け付けず、受けてもすぐに回復してしまう。大ダメージを受けても、一旦掻き消えた後、すぐに再び鋭角から登場する。またその場から逃げ出せたとしても、すぐに鋭角から現れる。抗う術を持たない探索者は、やがて最後の時を迎えることになるだろう。

カフェテリア ソーイングセット #15:30

ティンダロスの猟犬を封印した探索者たちは、そのままの勢いで、若菜からソーイングセットを借りることが出来る。彼女は呆気に囚われたまま貸してくれるだろう。探索者たちが去った後、彼女は思い出したように探索者たちを探すため、走り去っていく。一周目で出会った彼女は、この彼女だったのだ。

ここでもし借りるのを忘れた場合、後に1周目の探索者たちと彼女が出会う機会を失うことになり、タイムパラドクスが発生し、エンディング後の展開が変化する。

爆弾の解体 #15:40〜16:30

猟犬を封印して準備が整えば、残るは爆弾を解体するだけである。爆弾の解体方法を覚えている探索者はDEX×5またはINT×5に成功することで爆弾を解体することが出来る。爆弾の解体には刃物が必要になる。これには若菜から借りたソーイングセットに入っている、糸切りバサミを利用することが出来る。また探索者が機転を効かせて刃物を入手(店で購入する、何らかの所持品を使うなど)し、分担して爆弾の解体に当たることもあるだろう。この場合、刃物の調達にも時間が必要である。キーパーは10分ほどを目安に調整するとよい。

解体の判定に失敗した場合:

探索者は緊張と焦る気持ちから、手が震えうまく作業が進まない。

探索者は0/1D3の正気度ポイントを失う。

爆弾の解体が失敗した場合は、5分程度の時間を経過させて再チャレンジが可能である。再チャレンジの際は+10%の修正が付く。これは再チャレンジする毎に累積していくものとする。成功すれば、爆弾は1個あたり5分~20分程度で解体することが出来る。キーパーは全ての爆弾を解体した時点で16:30になるよう調整しながら時間を進めること。

最後のコード #16:30

最後の爆弾では、最後の一本のコードを切断する直前で、解体中の探索者の手が止まる。

ふと、爆弾を解体していた手が止まる。

赤と青のコード。最後に仕掛けられた、ブービートラップ。

探索者は意を決し、どちらかのコードを切断しなければならない。この選択の答えは「青を切る」ことだ。ヒントは占いのラッキーカラーに加え、アリッサシャトレーヌの演説にある「黄昏を断ち切り…青き深淵なる世界へ」という言葉である。彼女の野望を阻止するには、彼女の言葉の逆をする必要がある。すなわち、青を断ち切り、黄昏を超える必要があるのだ。探索者が青のコードを切り、残り全ての爆弾を解体すれば無事、エンディングへと進むことが出来る。

エンディング:失敗した・・・

赤のコードを切ってしまった場合、その場で爆弾が爆発する。近くにいた探索者は10D6のダメージを受ける。また、その爆発は施設に甚大なダメージを与え、エレベータは損傷、地下3Fを支えるシャフトは折れ、海水が施設内に押し寄せる。間もなくして、アリッサが姿を表し、クトゥルフが復活する。生き残った探索者がいた場合、1D10/1D100の正気度を失う。やがて世界は青き深淵へと飲み込まれて行く。

エンディング

トゥルーエンディング:黄昏を超えて

全てのフラグを達成して爆弾を解体した探索者は、このエンディングに到達する。

​

過去の探索者に気づかれず、真球の石を手に入れる

スの隠し部屋の場所を示すメールを過去の自分に送る

ティンダロスの猟犬を封印し、若菜を救う

若菜からソーイングセットを借りる

16:30までに爆弾を全て解体する

最後のコードを切った途端、探索者たちは、耳を割くような音と共に思わず目を閉じる。

静寂が、あたりを包む。やがてガヤガヤと、来場客たちの楽しそうな声が聞こえてくる。

​

「…ねえ」

「…ねえ、聞いているの?ねえってば」

​

目の前には、若菜が立っていた。

​

「ちょっと、話の途中でボーっとしないでよ!」

16:30。この時間は1周目。若菜が消えた時間に繋がっている。1周目、彼女が消えたのは探索者たちの手によって時間が書き換えられたことが原因だった。何も知らない彼女は、探索者たちにとりあえず借りていったソーイングセットを返すようせがむ。気がつけば、探索者は彼女のソーイングセットを持っている。また、ジェットコースターの列も人が減り、今なら丁度乗ることも出来る。沈む夕日は海底に赤と青が入り交じる幻想的な光景を映し出し、探索者たちは実感する。困難の刻を乗り越えて、運命を変えることができたことを。

エンディング:何かが違う

爆弾は解体したものの、途中のフラグを取りこぼした場合はこちらのエンディングへと進む。主にメールを送り忘れた、ソーイングセットを借りなかった、などの場合が考えられる。メールを送らなかった場合は探索者たちがイスの隠し部屋にたどり着けなかったことになり、またソーイングセットを借りなかった場合は若菜に出会うチャンスを失う。これらのケースではタイムパラドクスが発生し、探索者は再び、時間の歪みからティンダロスの猟犬に発見されることになる。

このエンディングでは、一旦最後の描写までは通常の「トゥルーエンド」と同じように進める。ただし、探索者はソーイングセットを持っていない。そして何も知らない探索者の背後、鋭角から青黒い煙が立ち上ってくるシーンで終りとなる。

クリア報酬

【参考文献】

[1]『クトゥルフ神話TRPG』、著:サンディ・ピーターセン/リン・ウィリス他、訳:中山てい子/坂本雅之(2004)

​

[2]『クトゥルフカルト・ナウ』、著:坂本雅之、内山靖二郎、坂東真紅郎ほか/アーカム・メンバーズ(2013)

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